以前、コネタで「時事ネタを速攻でTシャツにするブランド」という記事をお送りしたことがある。様々な時事ニュースに、攻撃的な切り口で対峙する「スモールデザイン」なるブランドについての内容だった。


そんな同ブランドが、年の瀬にスペシャルなTシャツをリリース! 12月より発売されているのは、その名も『2011年重大ニュースTシャツ』である。
まさに、今年の総決算。ただ手掛けるのは、あくまでスモールデザインだ。そんなに穏便に済む訳がない。ナイフのように尖った批判精神はそのままに、2011年を総括してみせている。

まずは、画像をご覧いただきたい。
縦3列と横4列からなる、計12個のデザインが描かれているが、これらは同ブランドが2011年に発表してきたTシャツの絵柄たち。その中でも特に秀逸なイラストを選抜し、時系列順に並べている。
では、どんな重大ニュースが取り上げられているのか? その辺りを、同ブランドのデザイナー・菊竹進さんに伺った。
「一番印象に残っているのは、堀江貴文さんが収監された際のTシャツです」

どういうデザインになっているかと言うと、「GO TO JAIL」の文字の下に企業名を羅列。「山一證券」、「ヤオハン」、「livedoor」などなど、ある共通点を持った企業名たちを……。
「粉飾が多かった企業を上から順に並べています。
横には『3100』などの文字も書いてあるのですが、これは企業の粉飾額を表しています」(菊竹さん)
そして最も下に記されたのが、まさに堀江氏の「livedoor」。「俺が捕まるなら、他の奴も捕まらなきゃいけないんじゃないの?」と本人の思いを代弁したような、エスプリの効いたデザインを施した。これは、収監時に堀江氏本人が着ていたTシャツそのものなので、記憶に新しい人も多いのでは?

あと、このトピックも覚えている。アップルの創業者・スティーブ・ジョブズ他界のニュース。当然、スモールデザインもこのトピックを取り上げた模様。
「ジョブズが棺桶の中から出てきて、指を1本立てながら『One more thing……』と言ってるデザインにしました」(菊竹さん)
これに、どういう意味があるのか。
実は、ジョブズにはお得意のプレゼン方法があったそうだ。会議中。まず2~3の企画案を発表し、終わりの雰囲気になるその刹那。「あ、ゴメン! 1つ、言い忘れてた」とスッとぼけながら、実は最後に付け足したそのプレゼン案が最も重要だという演出が、生前の彼の得意技だったそう。それを棺に入りながらもやっているという、菊竹流の追悼作がこのイラストである。

一つ一つ検証して行くと、どのトピックにも深い風刺が込められているのだが、その一方で「こんなトピック、あったなぁ~」という感慨も抱かせてくれる場合もあったり……。

皆さん、覚えているだろうか。“タイガーマスク騒動”(タイガーマスクがランドセルを掲げたデザインで表されている)や、“大相撲八百長騒動”(眼鏡をかけた力士の顔のどアップで表されている)等を。かなり昔の出来事と錯覚してしまわないか? 今年なんです!
私は、5月に起こったトピックを完全に忘れていた。岡本太郎氏による核と人類をテーマにした壁画『明日の神話』が、何者かによって落書きされたというニュースである。某アーティスト集団による原発事故を思わせるイラストが、壁画に付け足された事件だったが、それをデフォルメして同ブランドではTシャツにしてみせた。ごめんなさい。
私は、本気で忘れてました……。

そんな『2011年重大ニュースTシャツ』は、同ブランドのホームページならびに直営店で販売されている。価格は3,900円(税込み)。

「1年を総括するTシャツを発表するのは今年が初ですが、これからは毎年製作して行きたいと思います」(菊竹さん)
これをまとえば、忘年会シーズンにおける注目の的は間違いなし。見た目はポップだけど、内容はトガりまくってます。
(寺西ジャジューカ)