親戚の子供が道端で、唐突にオシッコしながら歩いている姿を見せつけてきたので、笑ってたら「アンタも小さい頃、同じことしてたわよ」と母親にツッコまれた経験がある。忘れてるのか卒業してるつもりなのか、スッとぼけてたっていつかは通ってきた道だ。


ところで現在、ある本が話題になっているという。イラストレーターのまきりえこさんによる子育てブログ「ちくわの穴から星☆を見た」を書籍化した、その名も『小学生男子(ダンスィ)のトリセツ』(税込み1,000円)。
この本の内容は、作者と長男「おりぇくん」による“笑ったり怒ったり、時々しみじみ”な日常を四コマ漫画にしてまとめたものだそう。

気になったので取り寄せてみると、大変! なぜなら、たまらない郷愁とシンパシーに襲われてしまったから。
消しゴムのカスで巻きの完璧なうんこを作ってみたり、湯船に潜ってお風呂のお湯を飲んでみたり、キンタマの裏にある縫い目みたいな部分に驚いてみたり、ちんこがブラブラして気持ちいいからずっとジャンプしてたり……。まさに、「おまえは、俺か!?」と肩を叩きたくなる、あまりにも見どころ多き「おりぇくん」の日常っぷり。


要するに、この本は小学生男子の“あるある”な生態を生々しく紹介してくれる一冊なのである。
「ウチの子(おりぇくん)はぼんやりしているので、一般論に当てはまるエピソードもあれば、ウチ特有のエピソードもあるかもしれません」(まきさん)
だからこそ、“まだ整ってない子”を持つお母さんへ「ウチも、こうですよ」と発信し、「大丈夫、だいじょうぶ!」と安心してもらいたいという思いが、同書には込められている。
事実、まきさんのブログには「我が家もそんな感じです」とか「ウチよりひどい!」といった反響が寄せられているとのこと。確かに目的は果たしているけども、後者のリアクションはあんまりじゃないか(笑)。

ところで、気になることが一つ。何度も言うが、同書には小学生男子の生態がまざまざと記録されている。
……女の子は、これほど手がかからないのだろうか?
「私も元々は、産まれてきた子の行動を性差で考えるのは嫌だったんです。ただ、育ててみると明らかに動物のレベルで違うんですよね。小さい頃、男の子はおっぱいを噛むし、おむつ替え中なのにうんこの上で暴れまわるし……」(まきさん)
もう、男の子を代表して私が謝りたくなる。うんこの上で暴れまわるだなんて……。まきさんいわく、「女の子は言えばわかる。男の子は言ってもわからない」そうだ。

「言って10年経つけど、本当にわからないんです!」(まきさん)
ごめんなさい……。

しかし、そこで頼りになるのが男親だろう。まきさんのご主人である「クロとらさん」は、さぞかし支えになっているはずだ。
「夫も子供に似てるんですよね。『こんなこと、困るよ』とは言いつつも、私から見ると同じノリで調子に乗ってますから(笑)」
作中では、二人並んでまきさんに全裸姿を見せつける父子の姿も描写されている。どこまで行っても、男の子!

こんなに身を削った作品が人気を呼ばないわけがない。
2006年のスタート以来、同ブログは今までに2500万以上のヒットを記録しているという。そして現在もブログは毎日更新されており、小学4年生(10歳)になったおりぇくんの日常を現在進行形で垣間見ることができる。

ちなみに、本のタイトルになった「男子(ダンスィ)」とは、ネットスラングの「ダンスィ」を意識しているとのこと。少年らしいやんちゃやいたずら、冒険心に富んだ遊びを好む小学生男子を指した総称を「ダンスィ」と呼ぶらしい。
ネット上で有名な例を挙げてみよう。男子とダンスィの違いはこうだ。
「横断歩道は左右確認の後に手を挙げて渡るのが男子 横断歩道は白いとこから落ちたら死ぬのがダンスィ」、「雨の日に傘を差して濡れないように帰ってくるのが男子 雨の日に傘を武器にして何本もダメにするのがダンスィ」、「学校の机の中はきちんと片付いているのが男子 プリントアコーディオンで一杯なのがダンスィ」。
まいった。わかりやす過ぎるし、身に覚えがあり過ぎる。

そして、同書にも「小学生男子(ダンスィ)」の生態について例が挙げられている。
・すべてのポケットになぜか砂が入っている
・傘はひっくりかえしておちょこにしなければ気がすまない
・棒を見ると拾ってしまい、石ころを見ると蹴ってしまう
・けしカスは、資源だ! ごみじゃない! 捨てるなんてもってのほか
・凹んでも再起動は3秒後
この愛すべきおバカっぷりが、世のママたちや我々のような“元・ダンスィ”を癒してくれるはずだ。

私からも、ママさんたちに頭を下げたい。
どうか、もう少しの間だけ“小学生ダンスィ”を温かく見守ってあげてください。
(寺西ジャジューカ)