ノート型やiMacのような一体型が人気のパソコン市場の中で、筆者は相変わらずモニターと本体が分かれた「デスクトップ型」が好きだ。好みのモニターにいつでも簡単に交換できるし、ビデオカードやハードディスク、メモリーなどを増やすこと(拡張性)にも優れているから。
で、今使っているデスクトップPC(キューブタイプ)、そろそろ更新時期が近づいており、どのデスクトップタイプを選ぶか(デスクトップにもいろいろいある)迷っている今日この頃なのだ。そこで、パソコンメーカーさんに私がどちらにするか悩んでいる2タイプのデスクトップのメリット・デメリットについて聞いてみた。

私が買おうと思っているパソコンとは、ミニタワータイプとスリムタイプ(住宅事情により、ハイタワー、ミドルタワーといった大きなタイプは除外した)。ミニタワーとはタテ置き専用のパソコンの中でもっとも小さいタイプ、一方スリムはタテでもヨコでも使える本体幅が薄いパソコンのこと。CPUや記憶装置容量といったスペックが同一であれば、値段的にあまり差がない両者だけに迷う。では何が基本的に違うのだろうか。


パソコン会社のマウスコンピューターさんと富士通さんに、両者の違いをまず聞いてみた。
○マウスコンピューター
・内部構造のスペースを生かし、ハイエンドなパーツを搭載したパフォーマンスの高いPCの製品化が可能なのがミニタワーPC
・筐体自体を省スペース化し、パフォーマンスを制限することで、コンパクトなPCの製品化が可能なのがスリムPC
○富士通
・大きさが異なる
 ミニタワー:大きい
 スリムタワー:小さい

つぎに、両者のそれぞれのメリットは。
○マウスコンピューター
◇ミニタワー:
・内部構造スペースが広いため、拡張性が高い。たとえば、SSD+HDDやHDD×2台、ミドルレンジ~ハイエンドのビデオカード、地デジチューナーカードなどを搭載可能
・最新パーツが搭載可能(稀にスペースの関係でスリムPCでの搭載が厳しい場合がある)
◇スリム:
・縦置き、横置き可能
・コンパクトなので置き場所を選ばない
○富士通
◇ミニタワー:拡張性が高い
◇スリム:省スペース

逆にデメリットは。
○マウスコンピューター
◇ミニタワー:ある程度の大きさがあるため、置き場所を選ぶ
◇スリム:内部構造スペースの関係でパフォーマンスの高いパーツが搭載できない
○富士通
◇ミニタワー:大きいのでスペースをとる
◇スリム:拡張性が低い
ただし、富士通さんはこう付け加える。
「お客様ニーズによって選ばれるモノなので、デメリットとは言えないと思います」

最後に、ユーザーのニーズについて、どちらがより人気か。
また、その理由は。
○マウスコンピューター
◇ミニタワー:コンシューマビジネスでは、おもな既存顧客の多くがPCリテラシーの高いユーザーということもあり、カスタマイズの選択項目が多く、パフォーマンスの高いミニタワーPCが人気
◇スリム:法人ビジネスでは、ある程度のスペックが搭載されていれば、あとはより省スペース化を求める傾向があるため、スリムPCが人気
○富士通
大きなサイズのタワータイプでなくてもスリムタイプで補える傾向(HDDの搭載能力など)にあるので、一般的な用途であればサイズの小さいスリムに人気がある

基本的ちがい、メリット、デメリットについてはほぼ同一見解だったが、最後の質問では両社のメインユーザーの傾向の違いが出ていておもしろい。個人ユーザーにおいて、マウスコンピューターさんは拡張志向の強いユーザーが多く、富士通さんのほうは裾野の広い一般ユーザーを念頭に置いている感じ。

結論として、拡張しやすさならミニタワー。あくまで省スペースの追求ならスリム、というところか。だが、ミニタワーもそんなにスペースをとるというわけでもない。
マウスコンピューターさんのミニタワーPC『LUVMACHINESシリーズ』では幅180×奥行き382×高さ373ミリで、これなら十分に液晶モニターの裏にでも置いておけば邪魔にならないサイズだ。他方、富士通さんのスリムPC『ESPRIMO DHシリーズ』のカスタムメイドモデルなら注文の際にHDDを約2TB、メモリを16GBまで容量を増やせるし、拡張性ではビデオカードなどを増設できるPCI Express x16×1を備える。

ミニタワーの拡張性の利便性、スリムのちょっとした隙間にも置ける便利さ。はっきり言ってまだ甲乙つけがたい。年末の大掃除でパソコンデスク周りを片付けて、新年になってからじっくり考えることにする。
(羽石竜示)