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なぜ「マスコミはウソばっかり」になるのか『雇用の常識 決着版!』

「いや、別にデータからはそうは読み取れないっす」という感じだ。まさに検証。

たとえば若者の非正規雇用。僕が新聞社の人間なら、できるだけ非正規の割合が高いことを報じたいと思うだろう。そう思ったとき、どうするかというと、

学生バイトの人数を合算する。
中卒と高卒を合算する。

これだけで一気に「非正規5割」が言える。でも大卒と院卒だけのデータだと、非正規の割合は男性で10.8%、女性で33.5%となる(総務省統計局「労働力調査2009」)。

こういうデータを見ていると、女性の社会進出や、中卒高卒の雇用状況の方が問題に思える。だけど新聞は、「もらい逃げする高齢世代」「損ばっかりのかわいそうな若者」という解りやすい構図を打ち出しているように見える。

同じようにワーキングプアの問題も、「わざとあんまり稼いでいない」、パートの主婦やバイトの学生、年金をもらっている高齢者などを合算したデータを用いている場合が多いという。彼らは他の所得があって節税のために意図的に「年に103万」などのラインにおさめている。そういう人を合算して「ほらみんな貧乏だ!」というのは、インチキっていってもいいレベルだろう。

本書はそういったウソを暴いていきながら、日本の雇用をとりまく構造変化や景気の影響の大きさなどを、ていねいに解説していく。

否定されがちな新卒一括雇用も、日本の雇用スタイルにあっている部分が多いというのも説得力があった。元々日本は新卒後数年間はふらふらする傾向が多く、そのために昔からその年代の離職率は高かったという。だが再就職率も同様に高く、アメリカのように就職時に専門や生涯所得がバチッと決まってしまう傾向が強い社会とは異なるのだ。...続きを読む

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