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平田オリザが勝手に寝てしまう〈「演劇1」「演劇2」想田和弘に聞く1〉

「あったはずですよね。ところが僕は全然遭遇しなくて。野田さんよりずっと下の世代だし。僕は89年に東大に入って、駒場キャンパスに通い始めた。青年団も、駒場のアゴラ劇場で89年に『ソウル市民』を上演していて、ちょうど現代口語演劇のスタイルが完成した頃だったわけです。でも僕は青年団も全然知らなくて。ただ、駒場の商店街があるじゃないですか。あそこをとぼとぼ歩いている時に『アゴラ劇場』っていう看板があるなあっ、小さい劇場だなあって、そのことだけを覚えてます、おぼろげながら。むしろ僕は学生時代、東大新聞っていう学生新聞で記者として活動していて、2年のときには編集長にもなって、そこで政治的な記事ばかり書いていたんですよ。ハハハ。で、あの頃、89年の秋だったと思いますが、風の旅団っていう反天皇のテント劇団が東大の駒場寮で芝居を強行しようとした事件があり、僕は一年生の新米記者として勇んでその取材をしました。昭和天皇が亡くなったのが89年の1月で、その自粛モードがすごく強くて、学生たちもすごく敏感に反応していた。まだ、いわゆる左翼学生っていたんですよ、あの頃。ハハハ、ハハハ」
ーー80年代の終わりにも? 東大ってすごいですねえ。
「いたんですよ。東大駒場寮は、野田秀樹さんの劇団『夢の遊眠社』が拠点とした駒場小劇場で有名ですが、寮は左翼的な学生が占拠し管理していたんですよね。そのせいで、駒場寮は家賃が月400円くらいだったんですよ。バブルの頃だったんですけど(笑)。そんな時代に僕は東大に入って、どちらかといえば左翼学生の活動のシンパだったので、風の旅団の事件も興奮しながら取材した。だからか、当時の僕の中では、演劇=政治的メッセージを発するものというイメージが強かった。風の旅団の事件では、機動隊が入って学生が5人も逮捕されて、以降、学生運動が急にしぼみました。今考えれば、あれが最後の灯火だったんですね。すごい皮肉なのは、さっきも申し上げたように89年、風の旅団事件と同じ年に『ソウル市民』が上演され、平田さんの現代口語演劇が完成していたんです」...続きを読む

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