レシピサイトを見るのが好きだ。
もっぱら“見てるだけ”なのだが、料理本ではお目にかかれないような個性的な味付けや盛り付けのレシピに出会えることも多い。
レシピ数の多いサイトといえば「クックパッド」が有名だが、この中で(一部の)熱狂的なファンを持つのが、京都在住の「としきん」さんのレシピだ。

写真の「給料日後の親子丼」は、サーモンとイクラの親子丼にシャケの頭を豪快(?)に飾り付けた、インパクトありすぎな一品。お手頃な鶏ミンチと生卵を使った「給料日前の親子丼」とセットで紹介されているのだが、ほかにも秋刀魚の塩焼きを丸一匹のせたラーメン「サンマーメン」、ステーキ×うどんを組み合わせた「給料日後の肉うどん」、オムレツをトッピングしたかけそば「オムそば」etc……。「クックパッド」に投稿されているレシピ70品以上のうち、“給料日ビフォーアフター”シリーズと、ダジャレ系ネーミングのレシピが大半を占めているのだが、「ホントに作ったんかい!」と思わずにはいられない若干のクレイジーさを漂わせているのがポイントだ。

プロフィールで“アラフォーでアホーな男子”と自己紹介しているこのとしきんさんに、素朴な疑問をぶつけてみた。

――食品スーパーにお勤めだそうですが、ご自宅だけじゃなく職場でも給湯コーナーでランチを作ったり、日々レシピ研究に励んでいるそうですね。周りの方の反応は?
「職場の人はおもしろいと言ってくれるのですが、家族の反応は『何してんの?』的な感じで、超クールです。でもこの前は、冷蔵庫に入れておいた鮭の頭を見て妻が絶叫してましたね(笑)」

――ああ、親子丼の材料見ちゃったんですね……。この“給料日ビフォーアフター”シリーズはどんなきっかけで生まれたんですか?
「よくレシピサイトに給料日前の節約レシピ的なものはありますけど、給料日後のレシピがないことに気づいたので。年に12回しかない、サラリーマンにとって大事なイベントをもっと楽しまなければ!と。前と後のギャップ感を楽しんでいただければうれしいですネ」

――ご自分のレシピをどう分析していますか?
「一言で表すのは難しいんですが、大人になると職場でも家庭でも、自分の思い通りにならない事って多いじゃないですか? だからせめて料理くらいは、誰からも何も言われず自分の好きなように作りたい!っていう思いが人一倍強いのかも知れません。『クックパッド』は僕にとっていわば“引きこもり部屋”的なスペースなんです」

――なるほど、確かにやりたい放題……いや、ビジュアルもネーミングもパンチのあるメニューが多いですが、お気に入りのレシピは?
「個人的には炒めた“こてっちゃん”をサンドした『モツバーガー』がお気に入り♪ ネーミングだけじゃなく、味も思いのほかおいしいんですよ。
本当かって? モツロンです」

――(笑)。レシピを拝見していると、ボリュームがあったり揚げ物だとかカロリーが高そうなものが目立つんですが、メタボったりはしてませんか?
「そうなんですよ、最近お腹が出てきてヤバイです。健康診断の結果がコワイ……」

――アイデアはあるけどまだ実現していないレシピはありますか?
「『給料日後の珍味丼』。キャビア、フォアグラ、トリュフを一つの丼にするという夢のような一品です。残念ながら給料がなかなか上がらないので、実現していません(泣)」
スーパーの上司の方、これを見ていたらぜひ、としきんさんのお給料を上げてあげてください(泣)。

ちなみに、としきんさんのレシピには今のところ“このレシピを作ってみた”報告をする「つくれぽ」の書き込みがほとんどない。本人曰く「レシピを見て“ニタッ”としていただければそれで十分」とのことだが、とりあえず私は麻婆茄子とご飯を炒めた『ナスゴレン』など、初心者でもケガが少なそうなレシピからチャレンジしてみようと思う。
(古知屋ジュン)
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