主人公のフアンは40代、無職。あくせく働くよりも最小限の努力で済ませるのをモットーに毎日マイペースで楽しそうに生きている。周りの友達もたいてい無職で、窃盗か詐欺でその日暮らし。町中を歩けば、大の男たちが昼間からバクチに熱中しているけど、誰も将来のことを考えて頭を抱えるわけでもなく、やっぱり楽しそうに日々を暮らしている。
だからゾンビが発生しても「もう終わりだ!」と絶望したり、「これからどうしよう」と頭を抱えたりしない。「じゃあゾンビ殺す商売でもやっか」と知り合いを集めて「愛する人、殺します。フアン殺人代行社」というキャッチフレーズで、ゾンビになった家族や友達を殺してお金をもらう会社を立ち上げる。電話で依頼が入ったら思い思いの得物を手に取って、みんなでゾンビを狩りにゆくのだ。
フアンとその仲間たちがゾンビをやっつけている姿は、イキイキしていて本当に楽しそうで、この映画一番のみどころだ。フアンはイカダをこぐのに使っているオールやブルース・リーの映画から学んだヌンチャクで殴り倒して、さらになぜか手裏剣で額を射ぬく。親友のラサロ(42歳、無職で小太り)はサトウキビを刈るナタで首を刈り、その息子のカルフォルニア(イケメン、観光客のナンパが仕事)は幼少の頃好きだった野球のバットで撲殺し、友達のチナ(オカマ)はきれいな脚を揃えてチアリーダーのように飛び上がりながらパチンコで目を射貫き、プリモ(マッチョ。血を見ると卒倒する)は目隠ししながら素手で首をひねる。強い日差しでカラカラに渇いた色調の街並みで、男たちが右へ左へ飛び回りながらゾンビを血祭りに上げていくのを見ていると、心の底からうきうきしてくる。