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じゃあゾンビ殺す商売でもやっか。40代無職だからキューバだから「ゾンビ革命」

でも、いくら楽しくやっつけたって、何でゾンビになるのか? 予防や治療は? という研究しなければ、根本的な解決にはならない。無職でほぼチンピラなフアンたちにそんなことはできないし、政府も当てにならない。国営放送で「最近の事件はアメリカの資金援助を得た反体制派のしわざだ!」と発表して「反体制派に抗議するデモをやろう」(キューバでは政府がデモを先導する!)と人を集めて、かえってゾンビを増やしてしまうくらいだ。だからアメリカやイギリスなら「政府や軍が来るまでちょっと様子見ようぜ」というところで、キューバでは迷うこと無く「ゾンビ殺す商売でもやっか」という発想になるのだ。

こう考えると、イキイキしながらゾンビを狩っているフアンたちの姿が、誰も頼れないし他にどうしようもないから、目の前のことを楽しくやってるように見えて、ちょっと切なくなってくる。そして、それでも困った状況に追い込まれたとき、フアンは自分や仲間を励ますようにこうつぶやく。「俺はアンゴラ内戦、マリエル事件、平和時の非常時も生き延びた」

フアンが生きてきた40年は、キューバ激動の40年でもある。アンゴラ内戦は1974年にアフリカのアンゴラで始まったが、キューバは東側陣営として支援するために、1991年まで軍隊を派遣していた(フアンはそこでニンジャからマーシャルアーツと手裏剣を学んだという設定)。マリエル事件は1980年、あまりに多くなった亡命希望者に政府がうんざりして「そんなに亡命したければすれば」といって12万人を超える人々を国外に脱出させた事件だ。このときには亡命希望者の乗るイカダやボートが海を埋め尽くし、バスが門をぶち破ってペルー大使館に突入したりしたらしい(「ゾンビ革命」でもゾンビから逃げようとする人たちが同じことをするシーンがある)。平和時の非常時は、1990年にキューバ政府が発表した経済非常宣言で、食料は配給制になり、原油が無いので自動車の代わりに馬車や自転車が輸入された。そんな厳しい経済状況をきらって、現在でも国外脱出する人は後を絶たない。最近は日本でも若者は日本から出て海外に行け、とあおる言説を見るけれど、キューバは40年前からずっとそんな状況なのだ。

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