ちなみに、東京都知事が任期途中で辞任することは今回が初めてだ。都知事選の時期も、戦後まもない1947年に「東京都知事」というポストが誕生して以来、その選挙はずっと4月に行なわれてきたので、12月の実施は異例といえる。
時期ばかりでなく、過去の都知事選からはいくつかのジンクスというか、共通する特徴が見出せる。これについて、佐々木信夫『都知事 権力と都政』には特徴として下記のような5つの事項があげられている。
【1】これまでに無競争当選は一度もなく、数名の有力候補とそれを取り巻く10人以上の候補者によって争われること。
【2】都知事が交代する場合、「親しみやすさが売りだった青島幸男から、強いリーダーシップを期待された石原慎太郎へ」という具合に、まったく違ったタイプの人物が選ばれること。
【3】一期しか務めなかった青島を除けば、歴代都知事はみな二期目(再選時)に最大得票を得ていること。
【4】初当選の年齢が高く、都知事を終える最終就任年齢は、先述の青島と初代都知事の安井誠一郎を除けばみな70歳に達していること。
【5】現職が立候補した場合、落選したケースはなく(ゆえに、都知事の交代は現職が退陣したときに限られる)、他道府県知事の経験者が都知事になったケースもいまのところない。