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ガラスの天才投手、伊藤智仁の悲劇『マウンドに散った天才投手』


「二年目のキャンプ、肘の状態がよかったので、肩もできていないのに調整を早めすぎて、バーンとやってしまって……」

これは1994年春の出来事。わずか20年前にもかかわらずトレーニングに関しての常識がまったく違っていたことに驚くとともに、その無知(伊藤自身だけでなく周囲も含め)によって、世紀に名を残したであろう大投手を失ってしまった事実が今さらながらに悔やしくなる。

伊藤智仁以外の6人の投手に関しても、ケガの原因やその後の壮絶なリハビリ風景はなかなかに壮絶。それでも、野球がしたい、一軍のマウンドに立ちたいという共通の思いが読んでいてまた切なく、もどかしくなってしまう。
本書はつまり、7人の投手の生き様であり、闘病記としても見ることもできるのだ。

野球界は球春を迎え、WBC・日本代表28名も選出。いよいよ戦いの幕が開ける。
日本の三連覇ももちろん気になるところだが、これまでの大会では上記した石井弘寿、そして松坂大輔など、無理な日程と極度のプレッシャーが、その後の選手生命に大きな影を落とすケガを生んできた歴史もある。今回既に、前田健太の肩の不調が心配されている。

エースと呼ばれる人種がそのプライドをかけながらケガとどう付き合っているのかを知る上でも最良の一冊ではないだろうか。
(オグマナオト)

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