「肉体的な単純作業であっても、その指令を出しているのは脳ですから、1つの指令を伝えるのに複雑な働き方をするほど時間がかかり、伝達がスムーズにいかなくなる可能性も出てきます」
そのため、シンプルな判断や行動については、動物や子どもの方が決断は早く、優れていることも少なくないと言う。
実際、単純作業をさせれば、子どもやサルの方が大学者よりも早くできる可能性もあるそうだ。
「つまり、脳の働き方が複雑で、なおかつ伝達がスムーズでない場合、どんなに頭が良くても単純作業が『上手くできない』ということが起こり得るのです」
とはいえ、どんなに頭が良く、複雑な仕事ができても、やっぱり「単純作業ができない」のは、日常生活で困る面も多いはず。
「そういった場合でも、少しずつ慣らしていけば徐々にできるようになりますので、長い目で見て少しずつ繰り返すということが大切ですね」
ちなみに、専門職や高度な技術が必要とされる仕事でも、「合間に単純作業を挟むほうが効率良くなる」という調査結果もある。
「これは、脳のリフレッシュになるからです。また、普段しないこと・慣れないことをすることで、脳の活動域を広げることにもなりますので、本人がストレスを感じない範囲で取り入れていければいいのではないでしょうか」
「単純作業」ができないのなら、自分に合った仕事を見つけることも一つの方法。また、慣れれば徐々にできるようになるそうなので、悲観せずに、いろいろ試してみるのも良いかも。
(田幸和歌子)
※ゆうきゆう 精神科医 著書多数。
ゆうメンタルクリニック総院長(上野院 http://yucl.net/)。(池袋院 http://yuik.net/)。(新宿院 http://yusn.net/)。(渋谷院 http://yusb.net/)。静かで癒される都会のオアシスとして評判が高い。