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書評家・杉江松恋が第149回芥川賞を完全予想、不気味な大本命

この小説の語り手はタカハシであるだけではなく、ネバダ砂漠で見かけたコヨーテに同化するなど、自身からの遊離もやってのける。その遊離がどういう原理で行われているかなどと考えていくと、タカハシの人生が描いた軌跡がだんだんと見えてくる。
私はパズル的な関心で本作を読んだが、パズルを解いた後に見えてくる絵柄が凡庸、という不満を漏らす選考委員も出る気がする。よって本命度は★★☆、ちょうど満点の半分で評価が割れる、と見た。

「すっぽん心中」戌井昭人(4回目。初出:「新潮」2013年1月号)
4回目の候補作、なんと今回は藤野可織と並んで最古参、かつ最多ノミネートとなってしまった。「すっぽん心中」は、第147回の候補作「ひっ」と同様、無為徒食の人間を描く小説だ。舞台は西日暮里駅界隈から茨城県土浦市付近までの一帯であり、東京メトロ千代田線〜JR常磐線沿線というローカル色が明確に打ち出されている。
車の追突事故のために首を怪我してしまいリハビリ生活を送る田野が、行き場のないモモという19歳の女性と出会うことから話は始まる。モモは18歳で福岡の実家を出て、悪い男に引っかかって風俗業に沈めそうになるなど、波瀾万丈の日々を過ごしてきた。2人は湯島のラブホテルに入り、成り行きのようなセックスをする。田野が怪我のために顔が横向きのまま動かなくなり、ニュースを流しているテレビのほうを向いたまま腰を振る、というのがばかばかしくていい。

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  1. 芥川賞 高橋弘希

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