トークといえば昨年大阪での「ふるさと怪談」にも出演している。楳図かずおを引き合いに出さずとも、恐怖と笑いとが相性ばっちりなのはみなさんご存じのとおりだ。
最後に、2006年に文學界新人賞を受賞した「いやしい鳥」を含む同題の第一作品集(文藝春秋)について駆足で紹介しておこう。
表題作では男が鳥に変身してしまう。その鳥の鳥っぽさがものすごくナマナマしく書かれている。同時収録の「胡蝶蘭」では鉢植えの蘭が動物を襲い、「溶けない」では母が恐竜に呑まれる。
『いやしい鳥』収録作は、『富江』『うずまき』などの伊藤潤二の漫画を思わせる。ブラックな味わいは、これを猟奇落語とでも呼ぶべきか。
俳句を作り、カメラは趣味の域を超え、トークも歌もうまい(カラオケでは昭和歌謡の造詣を垣間見せてもらったことがある)。藤野可織にこれ以上なにを望むことがあろう?
そうだ。あとは長篇小説だ!
(千野帽子)