グルメ本やドラマの影響で、あらためて注目を集めるようになった東京都北区。いつもにぎやかな商店街を中心に、安いもの・面白いもの・美味しいもの・そして人の暖かさがあふれている。
そんな北区で今話題なのが、西が丘に築50年の工場を再生して作られたカフェ「ODEON shokudo & cafe」だ。7月末にオープンして2カ月弱、老若男女問わず人々の憩いの場となっている。

「ODEON shokudo & cafe」は、十条駅から姥ヶ橋方面に歩くこと15分、落ち着いた住宅地のなかにある。元ガラス倉庫だったという白っぽい建物は、こざっぱりとした佇まいだ。だけど扉を開けてびっくり! 広々とした天井にシャンデリア、木製の壁板、壁一面の黒板に書かれた手描きのメニュー表。コンクリートの床やむき出しの雨どいに工場らしい無骨さを残しつつも、思った以上に明るい雰囲気だ。
店内に飾られたアンティークのランプや、ひとつひとつデザインが異なるテーブルやソファも、インテリアショップにいるようで楽しくなる。
伊予弁が素敵なオーナーの安田さん、メニュー担当の和賀登(わがと)さんも、とても気さくで素朴な方だ。お2人のほかに4人のスタッフがおり、計6人で運営しているとのこと。オープンの経緯やこだわりなど、たくさんのお話を聞いてみた。

日曜大工好きが興じてカフェづくりへ
建築関係だったお父さんの影響で、昔からものづくりが好きだったという安田さん。昨年末「古い建物をリノベーションしたカフェを作ろう」と決心し、音楽仲間に呼びかけて店づくりを開始する。
「すべて自分たちの手で作り上げること」をテーマに、内装はできる限り廃材をリサイクルして、各地で古物のインテリアを買い付けた。壁板の1枚まで、丁寧に手をかけている。そのせいか、田舎の古い家のように居心地が良い。

メニューももちろんすべて手作り
内装だけではなく、ドリンク・食事・スイーツも丁寧につくられている。
カフェでの勤務経験が長い和賀登さんだが、以前から「カフェの食事は少ないのに高い!」という気持ちがあったという。なのでメニューはどれもボリュームがあり、料金も抑えめに設定している。
また、オープンしたばかりだからこそ、お客さんの意見を積極的に聞き、和食や郷土の食材も取り入れた。一番の自信作だという、豆腐屋で仕入れた2種類の豆乳で作った豆乳プリンをいただいたが、甘さ控えめで大豆の風味が濃く、今まで食べたことがない味で美味しかった。和賀登さんはコーヒーの知識も豊富だ。現在コーヒーはブレンドのみとなっているが、これから豆の種類を増やしていく予定だそう。
夜はバーになるが(カフェメニューも注文可能)、こちらも地酒やオリジナルカクテルを揃えており本格的。各メニューへのこだわりも、お店をやるからには中途半端なことはしたくない、という強い気持ちが現れている。


お年寄りが続々来店中!?
親しい仲間たちと始めたお店だが、”内輪ノリ”な空気はなく、1人でふらっと立ち寄ってもにこやかに出迎えてくれる。なんと地元のお年寄りも続々と口コミで来店し、昼はひとりでコーヒーを、夜は夫婦でお酒を楽しんでいくという。これには安田さんも驚いたそうで、「東京のお年寄りはほんと垢抜けていますね~びっくりしました!」と言っていた。こんな面白い現象が起こるのも、どんな人でも気軽に来店できる「ほどよい」空気づくりができているからこそだろう。カフェが苦手だな~と思う人も、気軽に訪れてみて欲しい。

新しいお店だからこその魅力
お店を始めるまで北区に馴染みがなかったというスタッフの皆さんだが、今ではすっかり十条銀座の常連だ。
新鮮でおいしい食材が手に入るので、仕入れをすることも多いそう。公式Twitterでも、ユーザーや北区内の飲食店と積極的に交流して、地域とのつながりを大切にしている。
今後の展望を聞いたところ、メニューをもっと充実させて、カフェとしての完成度を高めていくとのこと。また、古民家に手を加えてカフェとして再生し、建物の一部を使用した写真スタジオを併設したいとも考えているそうで、これからどう進化していくのかも楽しみだ。通うたびに良い変化や、新しい発見がある。自分の声が反映される。
有名店や老舗の喫茶店とは違う楽しみ方ができそうだ。
新しいのに、どこか懐かしさを感じるオデオン。北区散策の際は西が丘まで足を伸ばして、のんびりとひと休みしてみてはどうだろうか。
(エキサイトニュース編集部 富下夏美)

「ODEON shokudo & cafe」
東京都北区西が丘2-5-14 【地図】
埼京線「十条」、都営三田線「板橋本町」それぞれから徒歩15分
営業時間:11時~22時(金・土は23時)
定休日:不定休(公式Twitterに掲載)