石川さん自身が、初期の「笑っていいとも!」に出演していた頃のエピソードも見逃せない。とにかく本書は、今後のタモリ研究には欠かせない文献であると、断言させていただきます。
■『中東短歌2』(中東短歌) 推薦者:近藤正高
じつはこの本は、4月に大阪で開催された文学フリマで、見本誌コーナーで閲覧して気になって買いに行ったものの、すでに売り切れて入手できなかったのだった。今回の文フリでは、前回買えなかった『中東短歌1』とともに、10月に出た新刊『中東短歌2』を購入した。
私は短歌についても中東についてもまったく詳しくないが、それでも読んでいると、さりげなく詠まれた光景のなかに、イスラム独特の習俗や文化などが垣間見えたりして面白い。たとえば柴田瞳さんの「往時茫々」と題する連作での、《懸命にHALALマークを探す手がチルド食品コーナーに冷えて》という一首。HALALとは、注釈によると《イスラム法で許された項目のこと。主に、イスラム教徒が食べられる物を指す》そうなのだが、日本人である詠み手は、いったい誰のためにHAKALマークのついた食品を探しているのだろうか。想像をかき立てる。