食べたい人はどうぞー、先着順ですよー、と客席にタッパーが回される。と、みんな我先にタッパーに手を伸ばす! Gに人が率先して群がるのを見るのは生まれて初めてだ。「私にもGください!」の声が飛び交う。
アルゼンチンGは丸っこい。佃煮にする際に脚を切り落としているため、見た目にGっぽさはあまりない。食べる。佃煮だ! ちょっと殻の固い感触はあるけど、その他はイヤな感じもなく、あっさり食べられてしまった。
今回のイベントに参加していたのは、主に20代~30代の男女。この傾向は、内山が定期的に開催している昆虫食の会でも同じ。昆虫食に嫌悪感や拒絶を示すのは、むしろ年配の世代なのだという。
実は、虫が嫌われものとなっていったのは、明治以降。それ以前は、現在のようにやっきになって殺すようなものではなかった(さすがにペットとして飼うのは変わり者だったけど)。昭和のオリンピックや万博前後から、虫の存在は嫌がられるようになった。
虫は触るのもイヤ、食べるなんてとんでもない。そう思う人がマジョリティな中で、昆虫食好きは誤解を受けている。
「『虫を食べてる』=『超貧乏』だと思われてるんですよ! ボロッボロの家に住んで、その家でカサコソしてる虫を捕まえて食べてる……みたいなイメージを持たれる。でも、そんなわけない。虫は養殖するのも買うのもお金がかかる。高級食材なんです」(ギリコ)
「昆虫食の盛んなタイでも、いまバッタの価格は豚肉の二倍くらい。家畜は生産が効率化されてるから安くなるけど、虫はまだそういう段階に至っていない。効率化されたら安くなるのかもしれないですけどね」(喰ロトワ)