かつて『キン肉マン』ではバラバラになったミート君を苦労して集めました。
でも『キルラキル』では、バラバラになった鮮血を集めるのは14話だけで済んでしまいました。

はやいね!

鮮血(スカーフ部分)も「以前よりも強くなってるんじゃないか」と流子に言っています。
さて、なぜここまで流子は強くなったのか?
ヒントは、マコ理論にあります。

●マコ理論=キルラキル
流子の背中を押したのはマコのセリフと、受け答えする流子のセリフを抜粋してみます。

流子「私が強くなってる?」
マコ「それは目先の欲に目が眩んでいるんだよー。鮮血ちゃんを元に戻したいって目先の欲に目が眩んで、必死になってるんだよー」

通常であれば「目先の欲に目が眩んでいる」という言葉は、悪い意味で使います。
しかし、欲求は自分の意志である、とマコは全肯定しました。


流子「ああ、マコの目の眩みっぷりは筋金入りだ」
マコ「うん、筋金入りも金のうちだよ!」

マコのセリフは度々このような詭弁になっています。
意味は正直、毎回間違っている。でも常に前向き。
蟇郡がなぜマコを認めるのかも、今ならわかります。

流子も大きく影響されました。
流子「今の私はただの纏流子じゃない、目先の欲に目が眩んでいる纏流子だ」
お? 流子が自分からマコ理論を話しています。


「自分の欲」への執着は、流子に今までありませんでした。
父の敵討という名目はありました。それを見失った今、何のために動くか分からなくなっている。
今は自分の意志=「目先の欲」で、友である鮮血集めに駆け出しました

中島 僕が全部の脚本を書くしかなくなった理由のひとつが、マコなんです。マコのむちゃくちゃなロジックの積み重ねで、ある種の説得力を持たせるのって結構難しいんです。結果的にその発言が局面を打開したり、ギャグみたいだったけどストーリーをジャンプさせるのに効果的だったりするんです。

あの1話でむしろ薄いんです「キルラキル」シリーズ構成・脚本の中島かずきに聞く1(エキサイトレビュー)

詭弁を正論に変えることで、力を産む。
これが、『キルラキル』におけるマコ理論=本質部分であり、中島かずき脚本のレトリックです。
目先の欲のプラス効果で「強くなっている」という考え方は、ある意味正しい。
ほら、アインシュタインも「我々の直面する重要な問題はその問題を作ったときと同じ考えのレベルで解決することはできない」と言ってたじゃん!

物語序盤なら流子もマコの話は聞き流したでしょう。
今の流子は、マコの意見を飲み込んで、ポジティブに解釈しています。
全ては捉え方次第であることに注目すれば、流子がどう成長していくのかが見えてくるはずです。


●高校生支配世界の謎
今週の見所をチェックしてみます。

関西と関東は別通貨
大阪の宝田財閥は、日本銀行券(普通の円)と違う、兌換紙幣でやりとりされています。
正貨と引き換えることが保証された紙幣で、現在はありません。日本銀行券は不換銀行券。
「大阪」は別の国として独立した経済体系を持っており、それなりにうまくいっている。
関東と関西が完全に別の政治体制になっている。
今後征服されたらどうなるんでしょう?

鮮血の端切れ
細切れにされた神衣・鮮血は、襲学旅行用極制服(ジャージ)に寄生しています。
鮮血そのものを着ることはできないけれども、意志がない(本体はスカーフの中)生命戦維だけの場合は、普通の生徒でも使える。
あくまでもドーピング扱いレベルです。変身はできません。
ただ、生命戦維とは何かを理解する鍵になりそうです。

高校生>一般人
大阪では高校生の戦闘に、一般市民が参加しています。

鬼龍院の本能字学園も、高校生の成績によって家庭の環境が変わるのですから、同じです。
皐月様は「高校制圧」をすることで、日本を掌握しようとしています。
とはいえ、最強の大人として皐月様の母がいるので、必ずしも高校生が至上ではないはず。
大人と高校生がぶつかる時は、いずれ来そうです。

ヌーディストビーチ始動
美木杉が先生としての潜入をやめ、ついに反制服集団ヌーディストビーチの組織員として動き出しました。
ここからが本番です。
ちなみに、流子が寝ていた時に積んであった本は「ヌーディカル(服にバツ印)」「ヴィッチガールズ(背面に『パンティ&ストッキング』のチャックのマーク)」、そしてグレンラガンのヨーコの髪留めのドクロ表紙の本。

とにかくネタの細かい回なので、コマ送り推奨。大阪の看板とかモブとか、面白いです。
こんなところで猿投山の実家のこんにゃくネタ、回収されると思わなかったよ。


『キルラキル』BD 1巻
『キルラキル』BD 2巻
『キルラキル』BD 3巻
「キルラキル」オリジナルサウンドトラック
キルラキル ガッツのもふもふスマホケース


(たまごまご)