ときどき猛烈に食べたくなる「サッポロ一番塩らーめん」。

塩らーめんというだけあって、辛い、酸っぱい、香ばしい、こってりなどといった強いパンチがあるわけでもないのに、思いついたらどうにも食べずにいられない。

その一方で、プロの料理人に好きなインスタント食品を聞くと、この「サッポロ一番塩らーめん」を挙げる人が多いことも、ときどき話題になる。
いったいその理由は何なのだろうか。
さまざまな野菜のエキスが入っていると聞くが、実はけっこうクセの強い野菜を使うなどの秘密があったりして?
サンヨー食品に聞いてみた。

「『何度でもくりかえし食べたくなる味』を目指し、通常の『塩ラーメン』には使用しない、ある香味野菜、ある香辛料をバランスよく配合した結果、やみつきになる『塩らーめん』となりました」
香味野菜、香辛料の中身については、残念ながら、企業秘密だそう。でも、あっさりに見えて、やっぱり独特の「香り」に工夫があるようだ。

加えて、サッポロ一番塩らーめんの独特さには、付属の“ごま”の存在もあると思う。

「ラーメンにごま」というのは珍しい組み合わせに思うが、そもそもなぜごまを入れるようになったのだろうか。
「サッポロ一番塩らーめんには、『切り胡麻』が入っています。香味野菜と香辛料が立った独特のスープに、白い『切り胡麻』を付けることによって、ごまの香りを加え、お好みでスパイス感をやわらげる、おいしさへの配慮をしたと言われております。また、どんぶりに盛ったときの見た目にこだわり、澄んだスープ、白い麺の邪魔をしないよう、白ごまが選ばれたと言われています」

さらに、「塩らーめん」においては、麺とスープの色のバランスを特にこだわり、澄んだスープに合う白い麺とするため「やまいも粉」を練り込んであるそう。
「余談ではありますが『みそラーメン』『塩らーめん』『しょうゆ味』等、フレーバーによって麺の形状、色が異なっているんですよ」
そうだったのか! 麺そのものも違うとは気づかなかった……。

ところで、非常にファンが多いサッポロ一番塩らーめんだが、実は売上的にはみそラーメンのほうが多いとも聞いたことがある。
それってホント?
「『みそラーメン』『塩らーめん』の売り上げは厳密に言いますと、若干『みそ』が多めですが、ほぼ同じです」

「みそラーメン」「塩らーめん」と、ラーメンの表記が違う理由は何なのだろうか。
「パッケージでのデザインを考慮して、『みそラーメン』『塩らーめん』と表記したと言われています。また、『塩らーめん(個食)』のパッケージデザインでは、隅に黒と赤の三角がありますが、よく見ると四隅に対称ではなく、一角だけが欠けています。当初の案では、四隅に三角がデザインされていましたが、見た目にクセをつけるため、あえて一角だけ外したそうです」
ちなみに、多くの食品が何度も改良を繰り返していくなか、サッポロ一番塩らーめんは、発売当初から全く味が変わっていないそうだ。

シンプルで、細やかなこだわりを持ち、かつ、長年変わらない味。生まれたときから、足すものも引くものもない、完成された味が、「サッポロ一番塩らーめん」だったようだ。

(田幸和歌子)