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東京駅復原を実現した建築史家・鈴木博之がショックを受けた「亡者の墓」

       
2月3日、建築史家の鈴木博之が68歳で亡くなった。一昨年に完成した東京駅丸の内駅舎の復原プロジェクトにも深くかかわるなど、約40年にわたり近代建築の保存に尽力してきた鈴木はまた、建築や都市に関する多くの著書を残している。そこでは、近代日本の社会や歴史の記憶を、建築だけでなく土地のなかに読み解くことも多かった。その際、彼が好んで用いたのが「地霊」という言葉だ。

「地霊」とはゲニウス・ロキというラテン語を訳した語で、《ある土地から引き出される霊感とか、土地に結びついた連想性、あるいは土地がもつ可能性といった概念》を意味し、そこには《単なる土地の物理的な形状に由来する可能性だけではなく、その土地のもつ文化的・歴史的・社会的な背景と性格を読み解く要素もまた含まれている》というふうに、鈴木はその著書『東京の[地霊(ゲニウス・ロキ)]』の冒頭で説明している。

1990年に刊行された『東京の[地霊]』は、東京の13カ所の土地について、そこで起こったできごと、所有者や使用状況の変遷などを叙述し、それぞれの土地の抱える歴史・記憶を浮かび上がらせたものだ。そこではたとえば、維新の元勲のひとり・大久保利通の暗殺現場である千代田区紀尾井町周辺の土地がたどった数奇な運命や、現在、聖心女子大学の所在する渋谷区広尾の土地が、戦前には旧皇族・久邇宮家の邸地であり、奇しくも昭和・平成二代の皇后ゆかりの地であること(香淳皇后は久邇宮家の出、現在の美智子皇后は聖心女子大卒なので)など、土地を介した意外なできごとや人物の結びつきが次々とあきらかにされる。

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2014年2月21日のレビュー記事

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