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オーバーオールの田辺聖子、絵筆を走らせる村上龍……作家の意外な一面『芥川賞・直木賞150回全記録』

という発言などは、いわゆる純文学を対象とする同賞の本質をとらえているように思われる。

一方、「直木賞のストライクゾーン」は、タイトルどおり、直木賞の守備範囲を論じたもので、私としては本書収録の記事で一番面白く読んだ。ぜひ、メインディッシュとしておすすめしたい。

そこではたとえば、ノンフィクションや戯曲・シナリオが対象になってもいいのではないかとの意見が、井上ひさしや五木寛之などから出されている。それに対し、ほかの委員からは当然のごとく異論が飛び出す。たとえば渡辺淳一は、《やっぱり小説は小説なので、ノンフィクションをやたらに取り込むのは感心しません。それ以上に、シナリオは全然別の問題だと思います。これは舞台なり映像で完結するものですから》と全面否定。また田辺聖子は、ノンフィクションを加えることには賛成としながらも、シナリオや劇作はべつだと主張、《文体、文章というものが大きい要素になるのと、セリフだけで綴る文学と同質に扱うのは、少しちがう、っていう気がします》と語っている。

話題は、歴史小説と時代文学の違い、また小説における史実・時代考証の扱いにもおよぶ。そのなかで五木が、当時ベストセラーとなっていた荒俣宏『帝都物語』は直木賞候補になるかどうかと投げかけたところ、また議論となり、さながら模擬選考会といった様相を呈す。

議論といえば、芥川賞・直木賞ははたして“人”に与えられるものなのか、“作品”に与えられるものなのか、ということも長らく意見の分かれるところだ。

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