これまでたびたび触れてきた話題なのだが、PC選びの際、何を基準に選ぶかという問題。入学、入社、WindowsXPのサポート終了などを機に、PCを新しいものに買い換えた人は多いだろうが、選ぶときにPC本体の大きさが重要だったりしないだろうか。
部屋のサイズやデスクのスペースに合わせてコンパクトなもの、あるいは広いクリエィティブスペースで使うなら、ある程度大きなものとか。だが、そもそも大きいデスクトップPCにどんなメリットがあるのか。一般には案外知られていないことなのかも。そこで、PCケースなどを販売する東京・秋葉原のリンクスインターナショナルに聞いてみることにした。

筆者の経験からまず話そう。最初に購入したPCはMacの中古PowerBookであった。
モニターサイズは10インチ以下であったかと……。画面が小さくてあまり使いやすいとはいえず、15インチのモニターと横置きタイプのデスクトップに買い換えた。
で、昨年夏までキューブタイプのコンパクトなデスクトップだったが、現在はミドルタワータイプと呼ばれる立て置きのPCケースを使用している。そもそもPCケースとは名前の通り、PCのいろいろな部品を組み込む箱のこと。この箱の大きさがPC本体の大きさとイコールなのだ。ちなみに、今のタイプにした理由は、夏場にオーバーヒートの懸念と拡張性ゼロによる不便さの解消のためである。


昨年夏、とても暑くてエアコンをつけないと人間ばかりでなく、PCも苦しそうな唸り声(内部の冷却ファンの音)を上げていた。かといって、PC内部は満員電車内のようにかなりキツキツ状態で通気性が悪く、冷却ファンを増やすスペースもない。心配になって、内部スペースにゆとりあるミドルタワーにした。これなら、ファンをたくさん付けられるし、将来、記憶装置の増設(ハードティスクなど)もできる。だが、やはり部屋に置くとその大きさはかなりの存在感となってしまった。正直、慣れるまで時間がかかった。


ミドルタワーよりさらに上を行く大きさなのが、フルタワーという立て置きのPCケースだ。リンクスが販売する『Nineteen Hundred』というフルタワーケースを例に挙げると、幅225mm×高さ695mm×奥行き555mm、重さ約13.4kgである。高さだけで比較すると、筆者のPCより約30センチも高い。これを私の部屋に置いた場合、相当のプレッシャーを味わうことになるだろう。大きさは伊達ではない。120mmの冷却ファンを6基搭載し、さらに8基まで増やせる余裕がある。
ちなみに筆者のPCには2基しかない。

リンクスはフルタワーケース(※1)のメリットについて以下のように説明する。
「フルタワータイプのPCケースを使用することの最大のメリットは拡張性にあります。一般的なミドルタワーPCケースの場合、オープンベイが3つ前後、シャドウベイが6つ前後、拡張スロットが7つ前後ですが、フルタワーPCケースの場合、オープンベイが5つ前後、シャドウベイが10前後、拡張スロットが10前後とドライブやストレージ、拡張カードなどの増設がより可能になります(※2)」

ちなみにシャドウベイが10ということはハードティスクなど記憶装置が10個も内蔵できるということである。すごい拡張性だ!! ふつうのPCは1個しか入ってないことが多く、それ以上増やすとなるとスリムやコンパクトタイプのPCケースでは無理なのだ。

ほかにもメリットとして、メンテナンスのやりやすさ、冷却性、グラフィック性能があるという。

「ケース内部が広くなることによってメンテナンス性が向上し、ケース内部を流れる空気の量が増えエアフローも良くなります。水冷一体型クーラーだけでなく、ラジエータ、ポンプ、ホースなどを組み合わせる本格水冷、複数のグラフィックスカードを同期させるマルチグラフィックス環境を構築して、より快適なゲーミングマシンの運用などにフルタワーPCケースは最適な選択と言えます」

増やしてよし、冷やしてよし、ゲームしてよし。それがフルタワーのような大きなPCの魅力と言えよう。
(羽石竜示)

※1 同社ではケース全高が580mmを超えるタワー型PCケースを「フルタワー」と呼ぶ
※2 PCケースの構造により各種ベイ数、拡張スロット数は異なる