みなさんは“アングラ演劇”をご存じだろうか?
アングラ演劇とは、1960~70年代にスタンダードとされていた商業演劇に対して、反体制的だったり実験的なステージを繰り広げた小劇場演劇のこと。昨年、没後30年を迎えた寺山修司率いる「天井桟敷」や、現在も俳優として活躍する唐十郎が率いた「状況劇場」などは特に有名で、彼らに影響を受けて舞台や映像の世界を志した俳優やクリエイターも数多い。


このアングラ演劇で特徴的だったのは、斬新なデザインのポスターの数々。横尾忠則や宇野亜喜良、金子國義、合田佐和子といった、誰もが一度は作品を目にしたことのあるような一流アーティストたちが手がけた作品は、アングラ演劇のムーブメントから40年以上たった今も色あせない強烈な個性を放っている。この、アングラ演劇ポスターの傑作約100点を厳選した展覧会『ジャパン・アヴァンギャルド-アングラ演劇傑作ポスター展-』が、渋谷の2会場で開催中。

現在でも舞台のチラシやポスターといえばユニークだったり目を引くデザインのものが多いのだが、当時はポスターのデザイナーがそのまま舞台美術も担当していたことから、実験的な舞台の世界観がギュッと詰まった1枚になっているのがポイント。ポスターのイメージが舞台そのものも演出に影響を与えたことも少なくなかったそうで、それだけの圧倒的なパワーを持った作品が一堂に会することになる。

今回はポスター展示のほかに、俳優やアーティスト、舞台関係者などアングラ演劇に関わりの深い人物と、アングラ演劇やその関係者に影響を受けたフォロワーたちの豪華トークショーも目玉。
ドラマや映画などで活躍中の麿赤児や佐野史郎といった俳優や、人形作家の第一人者・四谷シモン、美術家としても活躍するドラァグクイーンのヴィヴィアン佐藤、きゃりーぱみゅぱみゅのミュージックビデオなどを担当するアートディレクターの増田セバスチャン(※出演回の受付は終了)らが、どんなトークを繰り広げるのかも気になるところ。

アングラ演劇がはやったのは昔のこと。しかしメジャーとマイナーの垣根が無くなりつつあるいま、彼らが遺したポスターや映像などの作品群は、新鮮な驚きをもって若い世代にも受け入れられている。劇団の世界観×アーティストの個性がほとばしる超個性的な作品の数々に、この機会にぜひ触れてほしい。
(古知屋ジュン)

【ジャパン・アヴァンギャルド-アングラ演劇傑作ポスター展-】
会場:ポスターハリスギャラリーアツコバルー
日時:4/23(水)~5/19(月)(5/13火は休廊)
※トークショー開催日時など、詳しくはオフィシャルサイトを参照。