赤木リツコの「最近の男は、すべからく自分にしか興味がないのよ」というセリフは印象的。
(本来は「すべからく〜べし」で「ぜひしなければいけない」という意味の言葉)
「草食系男子」という言葉が出てきたのが、2006年の深澤真紀のコラムから。『序』が2007年公開なのを考えると、このような男性観の発言が出てくるのは興味深い。
90年代に鬱屈の表象だった碇シンジは、21世紀になって多くの人に愛されるようになりました。
そして新劇場版シリーズのシンジは、大人から見て「ナイーブだけど一生懸命がんばる少年」として描かれています。かわいいです。
庵野秀明「『エヴァ』は繰り返しの物語です。主人公が何度も同じ目に遭いながら、ひたすら立ち上がっていく話です。わずかでも前に進もうとする、意思の話です。曖昧な孤独に耐え他者に触れるのが怖くても一緒にいたいと思う、覚悟の話です。同じ物語からまた違うカタチへ変化していく4つの作品を、楽しんでいただければ幸いです」
(『ヱヴァンゲリオン新劇場版』DVDブックレットより)
繰り返すためには、どんなに進む方向が新しい感覚であろうと、シンジがどう見られるようになっていようと、一度90年代からはじめなければいけない。
だから『序』では、90年代を強調します。
同時に、90年代を意識させられることで、見ているこちらはエヴァの呪縛から解き放たれない。
もう20年たっているのにね。
何度『序』を見ても、細かい部分を深読みして、混乱する感覚から逃れられません。
「エヴァ癖」はもう、一生抜けなさそうだ。
(たまごまご)
『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序』BD
『ヱヴァンゲリヲン新劇場版 : 序 全記録全集』
『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序 アニメーション原画集』