人手も足りていない。もともと30℃を超える気温の中で完全機密の服を着て、検査したり看護したり看取ったりする肉体的にも精神的にも過酷な仕事だ。人が足りなければ疲れはたまり、ミスにつながって感染してしまう。感染したらもちろん仕事はできないから、さらに人手が減る。
正しく情報が伝わっていなかったり、防護服が配られなかったりして、リベリアで医療従事者がストライキを起こしたこともある。
ただしどれも解決できる問題だ。人手や物資や情報が足りないだけだからだ。
防護服がいきわたって十分なトレーニングを受けられれば、医療従事者への感染が減る。人手が増えれば体力的にも精神的にも余裕ができて、ミスで感染する人も減る。施設がたくさんできれば入りきらなくて家に帰される人がいなくなって隔離がはかどる。
実際、適切な対処ができたセネガル、ナイジェリアでは既に拡大終了宣言を出している。だから西アフリカでそれができないのは、エボラ出血熱が凄いのではない。人類が本気を出していないだけだ。
これまでに悲観的なコメントを出したのは国連だけではない。国境なき医師団が「このままではおさえきれない」、CDCが「このまま手を打たないと感染者は140万人に達する」