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東京オリンピックと日本のデザインの青春。迎賓館赤坂離宮物語

だが、居住性は正直いってよくなかったらしい。日本初の空調システムによって建物全体が暖められるようになっていたものの、これに備わっていた温度自動調整装置がまるでポンコツだった。昼日中に突然、熱風を噴き出したかと思えば、寒い夜中に急に止まったりで、部屋の温度は意味もなく上がったり下がったりするのだ(藤森照信・増田彰久『建築探偵 東奔西走』)。元の主人である昭和天皇も、西日も当たるし、けっして快適ではなかったとのちに明かしている。

1948年、赤坂離宮の建物と敷地は皇室財産から政府へと移管された。だが、宮殿建築という特殊な建築のためか、その用途はなかなか一つに定まらなかった。国立国会図書館が、現在の所在地である永田町に移るまで10年あまり置かれたのと並行して、内閣法制局や裁判官弾劾裁判所などさまざまな機関が設置された。迎賓館となるまでにはじつに四半世紀以上かかったことになる。

この間、建物も庭も手入れが行き届かず、荒れ放題といった風情となっていたという。不便なのもあいかわらずで、設計時に参考にされたというフランスのベルサイユ宮殿と同じくトイレが少なく、建物の端にあるトイレまでたどり着くには時間がかかった。我慢できずに、窓を開けて庭に用を足す者さえいたという。――これは、野地秩嘉『TOKYOオリンピック物語』で紹介されているエピソードである。一体、オリンピックと赤坂離宮にどんな関係があるのか。じつは、1964年の東京オリンピック開催にあたり、赤坂離宮には、オリンピック東京大会組織委員会が設置されていたのである(設置期間は1961年9月~65年1月)。

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