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松尾スズキの傑作ミュージカル「キレイ」は、ますます悪化する日本の闇を告発する

       
そのように善も悪も、キレイもケガレも、貧しさも豊かさも、悲しみも喜びも、どっちもあるのだと認めることによって、誰もが救われる。

社会的弱者を描いた作品は古今東西たくさんある中で、弱者をカワイソウという視点で描くのではなく笑うことで、人間すべてを等価値にする松尾の作風については、ずいぶん前から語られてきたことだけれど、こういう視点が今、ますます必要とされているのではないだろうか。
汚されることは女性だけの問題に限らず、男女問わず、いろいろなことで差別され、傷つけられている者がいることを描いた「キレイ」は、誰もを優しく包み込む。こんなに平等な物語はなかなかない。

松尾は多面体な人間性を「リバーシブルのジャケット(ジャンパーだったか)」に例える。
これは、先日、ドラマ「ごめんね青春!」で、宮藤官九郎がDVDのパッケージと中身の違いで見た目と中身の違いを語ったことと似ている。私はこのドラマのレビューで、この表現の前身が「池袋ウエストゲートパーク」の11話にあると書いた。これは2000年6月放送で、「キレイ」の初演も2000年6月なのだ。同じ時期に同じようなことが語られていたとは感慨深い。

宮藤が松尾主宰の大人計画に所属し、入団当初は松尾の演出助手をつとめた、松尾の弟子筋に当たることは有名な話で、初演の「キレイ」では盲目の男ジュッテン、再演では、監禁男マジシャンを演じている。
おそらく「キレイ」は宮藤にとっても印象深い作品であろう(今回は宮藤が演じた役をオクイシュージと田辺誠一が演じている)。宮藤脚本の中の、人間の多面性、多層性は、松尾の影響を大きく受けていることを改めて認識した、今回の再演であった。

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2014年12月15日のレビュー記事

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