たとえば「主夫のつぶやき」の前に置かれた「主夫のお悩み相談室」ページで、主夫・非主夫の男からの50問に50答しているなかの一答、
〈小学校になると、親たちも要領を得てくるので逆に先生たちを見定めるようになるんだ。ぼくは先生たちのことを長い目で見守ってあげる気持ちが大切だと思う。だって、いい先生が一人育てば、その先生が何百人、何千人のいい生徒を育ててくれるんですから〉(以下、引用中の太字は原文)
これなんて、過酷なクレーム社会に生きる教師というものを、それこそ〈“新たな目”で見られるように〉なるひとことだ。
さっき、著者は人生を毎日しっかり味わいつくしていると書いたけど、それはつまり、佐川さんが時間に使われるのではなくて、1日の時間を完全に使い切っている、ということでもある。
僕たち男にとって、仕事というものが「生活からの逃避」になってしまうことがしばしばある。高度成長期あるいはバブル期まではそれでごまかしが効いたかもしれない。けれど、バブル崩壊後25年たっても、それに替わる生活モデル(もちろん単一ではない)を、社会はいまだに模索中だ。