清水翔太 大胆変化をみせる新曲「BYE×BYE」/インタビュー

■New Single『BYE×BYE』インタビュー(1/2)

清水翔太 過去の自分と決別か――大胆変化へ

タイトルの「BYE×BYE」は、過去の自分との決別なのか。そう深読みしたくなるほどジャケットやミュージックビデオといった見た目からガラッと変化した清水翔太のニューシングル。
サウンドも最近の海外の潮流を採り入れたオルタナティブR&B路線の、攻めのミディアムナンバーとなっている。今年2月に初のベストアルバム『ALL SINGLES BEST』をリリースし、新たな道を歩み始めた彼は今どんな気持ちで楽曲制作に向き合おうとしているのか。現在開催中の自身最大規模となる全国ツアーのテーマも含め、たっぷり語ってもらった。
(取材・文/猪又 孝[Do The Monkey])

やるせない恋の歌「BYE×BYE」 ……ま、実体験かな(笑)

――今回はまずビジュアルから大胆に変化を遂げた作品になりましたね。やっぱりそれはベストアルバム後の1発目のシングルというところもあって?

翔太:アートワークを含め、もうちょっと今っぽいところを攻められたらいいなという気持ちはありましたね。いい意味でも悪い意味でも、これまでは普遍性を重要視してたし、追い続けてきたからこそ、それを表現することの難しさもわかっているつもりだから、もうちょっとそれを楽しんでやれないかなって。


――フレッシュ&クラシック。その両方を求めていこう、みたいな?

翔太:そうですね。もちろん普遍性はすごく大事なことだけど、フレッシュな気持ちで楽しんで作品づくりをやれるほうが、精神的には健康というか、面白いものができるだろうなっていう思いがあって。

――それにしても、ベスト後1発目で「BYE×BYE」だなんて、意味深なタイトルだなと思いました。

翔太:あ、特にそこは意味はないです(笑)。

――ってことは、恋人と別れるときの心境を歌った内容だからこのタイトルに?

翔太:そうです。
ちょっとしたボタンの掛け違いで、お互いにまだ気持ちはあるのに別れないといけない2人を書こうと思って。(テーマは)無気力というのかな。お互いに「なんでこうなっちゃうんだろう、わからない」みたいな別れを書こうと思ったんです。

――無気力というか空虚感というか諦めというか。その感じは冒頭の4行に表れているよね。お互い大事にしたいものはわかっているのに、“どちらかしか選べない”って結論づけちゃってる。
いやいや、両方大事にしようよ、と思うけど。

翔太:そう。両方大切にすればいい話なんだけど、自然と2人の向かって行く方向にその気持ちがないっていう。でも、それってよくあると思うんですよ。2人の状況が良ければ「一緒に大事にしていこうね」って言えるんだけど、2人でいろんな道を辿ってきて、次に行こうっていうときにその思いは持って行けないよって(相手に)言われちゃって、「えーっ!?」みたいな。そんな別れを書きたかったんです。


――そういう意味では、どこかドライというか冷めている印象も受けたんだよね。

翔太:うん。そういう表現のひとつとして、シングルで初めてオートチューンを使ったんです。

――声がロボット風=血が通っていないっていうことで。

翔太:オートチューンって、虚無感とか、感情がニセモノだっていうときの表現に使えるなと思っているんで。僕がオートチューンを使うときはそういう意図を込めていることが多いんです。


――そもそもこういうやるせない恋の歌を書こうと思ったのは何故なの? 映画や本からインスパイアされたとか?

翔太:うーん……ま、実体験かな(笑)。

――……切ないねぇ(笑)。

翔太:虚しさばっかりだから、最近は(笑)。

清水翔太 大胆変化をみせる新曲「BYE×BYE」/インタビュー
BYE×BYE【初回生産限定盤】

「BYE×BYE」MVで初めてメイクをしました

――サウンド面の話をすると、「BYE×BYE」のトラックは、冒頭、「今っぽいところ」と言っていたように今のUSのメインストリームのサウンドだよね。特にドラムやシンセの音色にポストEDMとかオルタナティブR&Bの雰囲気を感じました。

翔太:そうです。
そっち方面のバラード。

――曲調は全然違うけど、わかりやすい例を挙げると、テイラー・スウィフトの最新アルバムにもこういうサウンドはあるわけで。

翔太:テイラーは、まあまあイメージにありましたね。彼女のアルバムのバラードというか。最近、僕は美メロな曲でドラムはちょっとゴリゴリしてるものが好きなんで、狙い目はそういうところでした。

――サウンドメイクでこだわったところは?

翔太:中毒性というか、お決まりの気持ちよさみたいなところを意識して作ったんです。EDMとかエレクトロもそうだけど、“こう来て、こうなる”っていうのがわかっている気持ちよさっていうのは重要だから、それを自分の世界観の中でやれないかなって。特にサビは、一回落ちてからドラムがまた入ってくる気持ちよさっていうのがかなりあると思うんです。

――EDMでいうドロップ効果みたいな。

翔太:そう。しかも同じメロディーが2回続いていて、2回目のほうだけ気持ちいいっていうのが結構ポイント。ライブでも気持ちよくやれるんじゃないかなと思ってます。

――「BYE×BYE」のミュージックビデオもこれまでと全然違うテイストだけど、自分からかなり意見を出したの?

翔太:出しました。エッジの効いた世界感を見せられたらいいなと思って。

――プールの中で男女がキスするシーンとか、いい意味で“らしく”ないよね。ああいう情欲的なシーンはこれまではなかったから。

翔太:そう。けど、プールは、曲を作ったときから、なぜかイメージにあったんですよ。ミュージックビデオを作るとしたら、サビの最初の落ちてるところはスローでプールに飛び込んで来るんだとか、なぜか思っていて。

――ずばり、ビデオの見どころは?

翔太:ドラマ部分の色味かな。激しい感じの色味。あと、僕は初めてメイクをしたんです。アイシャドーを入れているので、僕自身の見え方もかなり新しいです。

――2曲目「yours」はどんなイメージで書いた曲?

翔太:これは(1曲目とは)逆に恋をする歌で、清水翔太節もちゃんと残っていることをカップリングでは見せようと思ったんです。だから今までと逆なんですよね。今までだとカップリングでエグいことやろうっていう。

――プリンス風とかディアンジェロ風とかやってたから。

翔太:それとは逆で、カップリングではちゃんとしたところも見せておこうと。だから、特別気にせず「いい曲つくろう」っていう感じで取りかかったんです。

――歌詞にはどんな男女を描こうと思っていたの? なにか具体的なイメージはあった?

翔太:かなりイイ感じで。付き合うまでは、あと一歩、二歩くらいのところの男女で、「いつ言おうかな」くらいの感じなんだけど、ちょっと忙しくて最近会えてなくて、「ちょっと焦る~」くらいの2人。

――年齢は、翔太の実年齢とか、もうちょっと上のアラサーくらいをイメージしていたんじゃない?

翔太:どうだろ。あんまり年齢は意識してなかったかも。

――というのも、<僕なら君を幸せにできる 何の根拠もなくそんな事言えないから黙ってるけどね>という歌詞が、責任感を匂わすフレーズだなと思ってね。

翔太:あはは!

――大人というか社会人っぽいなって。衝動のままに「好きです」とは告白できない年齢っていう。

翔太:確かにね。そうなのかな……。

――そういう意味では、歌詞に出てくる<「きみがすき」>も、「君が好き」のときの<君が好き>とは重みが違うんだろうなと思ったの。当時より重いんだろうなって。

翔太:そうかもしれない。作ったときはそこまで考えていなかったけど、今振り返ると、当時言ってた<君が好き>とは違う君が好きになったんだって言いたかったのかもしれない。<君が好き>っていう言葉も、今は大人として、違う重みがあって言ってるんだっていうことを表現したかったのかもしれないですね。

清水翔太 大胆変化をみせる新曲「BYE×BYE」/インタビュー
BYE×BYE【通常盤】

憧れの場所だった大阪城ホールはできる限り、泣かずにやりたい(笑)

――もうひとつ、<東京に来た理由>っていうフレーズも、翔太には珍しいと思ったんだよね。こうして具体的な地名が出てくるっていうのは。

翔太:そうなんですよ。ここは自分でも不思議なんです。こう書いたら東京にいない人は共感できなくなるじゃないかと考えるタイプだから、僕はこういう具体的なワードの使い方はしないんですよ。だけど、ここはこれしかなくて。

――それで、さっきの質問をしたんです。そういう歌詞だから、具体的にイメージしていたモデルがいるんじゃないかと思って。

翔太:まあね。ま、これもわりと実体験だからかな(笑)。

――この記事が掲載されるときは、ベストアルバムを引っさげたツアーの真っ最中ですが、今回はどんなことをテーマにツアーに臨もうと思っていますか?

翔太:ひとつテーマを挙げるとしたら「再生」ですね。これまでの作品を自分はフレッシュな感覚で演奏して、お客さんにも初めて聴く良い曲みたいに感じてもらえることを目標にすれば、いいヴァイブスでやれるんじゃないかと思って。一回通り過ぎ去って行った自分の楽曲たちを、ベストが出る今までずっと愛し続けてくれたファンのみなさんと一緒に再生する時間にするっていう。

――今回は自身2回目の日本武道館公演と初めての大阪城ホール公演があるけど、まず武道館に向けての意気込みは?

翔太:リラックスしてやりたいですね。

――前回は緊張したと言ってたからね。リベンジっていう感じ?

翔太:リベンジです。前回は緊張が嫌な方向に出ちゃったんで。

――大阪城ホールはどう? 緊張しちゃうかな、やっぱり。

翔太:緊張するでしょうね。今まではリラックスしてやれていた大阪が、今度は緊張で大変なことになりそうだから、それもそれで怖いんですけど。

――翔太にとって大阪城ホールはどんな場所なの?

翔太:いちばんの憧れの場所ですね。いちばん多くライブを観に行った場所だし、大きいライブ会場っていう印象がいちばん強い。

――スクール時代に城天ライブはよくやってたんでしょ?

翔太:もちろん。自分で機材運んでやってましたから。

――そこから見える大阪城ホールは、近くて遠い場所、みたいな?

翔太:そう。本当憧れの場所だった。だからとりあえず、できる限り、泣かずにやりたいなと思ってます(笑)。

――今からそれを心配してるようじゃ(笑)。けど、泣いちゃうかも?

翔太:なんかねー、どんどん涙もろくなっていくから(笑)。自分は歌をうたうプロだから泣いて歌えないのはダメだと思っているんです。そう思ってるんですけど、なかなかね……(笑)。でもね、今年は泣きません!

――泣き顔も感動的だけど、勇姿も見せないとね。東京や地方からもファンが駆けつけると思うし。

翔太:だと嬉しいですね。清水翔太のヒストリーとしては、いちばんわかりやすい、夢が叶っている瞬間ですからね。自分でも今から楽しみにしてます。

――インタビュー2へ

≪動画コメント≫
【視聴】清水翔太 New Single『BYE×BYE』リリースコメント

≪リリース情報≫
New Single
『BYE×BYE』
2015.07.22リリース

【初回生産限定盤】CD+DVD
SRCL-8850~51 / ¥1,574(税抜)
【通常盤】CD
SRCL-8852 / ¥1,204(税抜)

[収録曲] ※初回生産限定盤のみ収録
1. BYE×BYE
2. yours
3. I miss you -refrain- (MANABOON Steppers Remix)
4. BYE×BYE -Instrumental-
<DVD>
BYE×BYE Music Video

≪ライブ情報≫
【清水翔太 LIVE TOUR 2015】
2015年7月18日(土)福岡・福岡サンパレス
2015年7月20日(月)愛知・センチュリーホール
2015年7月26日(日)長野・キッセイ文化ホール
2015年7月29日(水)広島・上野学園ホール
2015年7月31日(金)香川・サンポートホール高松
2015年8月2日(日)愛媛・西予市宇和文化会館
2015年8月9日(日)静岡・清水市マリナート
2015年8月14日(金)岡山・岡山市民会館
2015年8月15日(土)島根・島根県民会館
2015年8月21日(金)宮城・サンプラザホール
2015年8月22日(土)福島・郡山市民文化センター
2015年8月28日(金)北海道・札幌市民ホール
2015年9月10日(木)東京・日本武道館
2015年9月21日(月)大阪・大阪城ホール

≪関連リンク≫
清水翔太 オフィシャルサイト
清水翔太 レーベルサイト
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