8月7日に発売された「anan(アンアン)」恒例のセックス特集。今年のテーマは「昂めあう。
伝えあう。満たされる 愛とSEX」
だ。
「anan」セックス特集解剖。勃起力も大きさもどうでもいい、心のペニスの折れやすさを改善してください
ついに発売された、毎年恒例セックス特集

色気たっぷり夢いっぱい、キスマイ玉森グラビア&インタビュー


表紙で流し目を送ってくれるのはKis-My-Ft2の玉森裕太。巻頭の特集ページは8ページ。筋肉と臀部を出し惜しみしない、ドキドキもののグラビアが展開される。
「anan」セックス特集では表紙にジャニーズを起用することが多い。恋愛スキャンダルが御法度とされる彼らが、インタビューでいかにファンタジーを保ちつつ語るかはひとつの見物になっている。

たとえば今年の玉森はこんな感じ。
「女性に触れられたら落ち着かなくなっちゃいますよ。僕、意外とピュアなんですよ(笑)」
ここでいったん純情をアピール。
「でも愛情表現は濃いほうがいい。好きな人とは触れ合っていたいし、ハグはお腹とお腹が全部くっつくくらい。お風呂も一緒に入りたいし、二人でくっついて喋りながら映画を見たりしたいです」
ここでうまいのは、すべてが「〜たい」という希望形で語られていること。
「お風呂は一緒に入るのが好き」と書かれると、「過去、誰かと入ったのかな……」と想像してしまう。希望形だとその辺りの生々しさが脱色され、ファンにとって心穏やかな表現になる。
「僕は好きな子が隣でスヤスヤ寝てくれてたら、それだけで幸せだろうし、たとえ寝顔がヘンでも、それすら可愛く見えると思うんですよ」
「だろう」と「たとえ〜思う」コンボ! さすがプロ。
「anan」セックス特集解剖。勃起力も大きさもどうでもいい、心のペニスの折れやすさを改善してください
表紙はキスマイ玉森裕太。ものすごく色っぽいグラビアもあります(画像は「KIS-MY-WORLD」SHOP限定盤より)

セックス特集に必要な要素はほとんど網羅。ちょっとの物足りなさも


さて、今年の他の特集は……
・読者のリアルボイスを大公開。心も体も満たされた、最高のSEX。

・島本理生の小説「兄のともだちだったひと」
・わたしたちが感じる、あの瞬間。
・さらに昂めあうSEXテクニック。
・最新「感じるオンナの科学」NEWS。
・湊よりこの漫画「What's ecstasy?」
・こんなとき、どうすればいいの? 開設! SEXお悩み相談室。
・南綾子の小説「雨と光と熱」
・男の「SEX」解体新書。
・紗栄子グラビア
・気になるひとりHの世界をのぞき見。

・避妊と性感染症、どこまで正しく知ってる?
・いまどきの「カップルズホテル」はここがスゴイ!

体験談、妄想、テクニック教授、悩み相談、小説&漫画、ひとりH、避妊&性感染症と、セックス特集に必要な要素はおおよそ網羅されている。全体的に挿入主義・絶頂主義だ。
夫婦間でのセックスについての記述がほぼないこと、男女間のセックスにばかり注目されていることは物足りないが、「20代〜30代独身女性」という対象読者層を考えればやむをえないかもしれない。
女性向けのちょっとアダルトな映像が収録されたDVD付録もついてくる。今年は渡部拓哉・有馬芳彦・一徹が相手役として出演。基本的に女性向けAVは見目麗しい男性が出演してくれるが、渡部は男性アイドルか少女漫画のヒーローかと見まごうくらいのイケメンぶり。
すごい時代になってしまった……。

メンタルペニス強化トレーニング求む!


「anan」のセックス特集は、いつでも揺れている。「女だって性を楽しみたい!」という気持ちと、「男の人に愛されたい!」という気持ちのあいだで。
みうらじゅんに「男が気持ちいいセックス」を尋ねた特集ページは、後者の想いを反映したものだ。
みうらは「男は愛を話に持ち出されると勃たない」「男性は持ち上げられないと上になれない生き物だから、ベッドの上で疑似でも主従関係ができてないと盛り上がらないんですね」「まずは相手の気持ちを考える(例:彼がエッチな下着を履かせようとしてきたら履く)」「ペニスはナイーブ」と持論を展開する。
女性誌のセックス特集では、必ずこの手の「女は女優になろう」「男は傷つきやすいから優しく接してあげよう」の話題が出てくる。メンタルペニスの折れやすさを受け入れていることが、男女の豊かな性生活のコツ……と教え諭される。
去年は溜池ゴローが、そして今年はみうらじゅんがそれを教授するポジションだ。
そうペニね〜、うんうん繊細ペニね〜、「痛い」とか「そっちじゃない」とか言ったら萎えちゃうペニね〜!
…………面倒くせ〜!
女性誌に「膣トレ」特集があるなら、男性誌に「メンタルペニス強化トレーニング」特集を出してはくれないでしょうか。勃起力も大きさもどうでもいいので、心のペニスの折れやすさを改善してください!

「anan」センスは健在。アレをチャペルに見立てるとは


「anan」のセックス特集のもうひとつの醍醐味は、「何を食べたらこの表現が思いつくんだ?」と言いたくなるようなパワーワード。
今年は「さらに昂めあうSEXテクニック」特集に出現した。
〈ここからは、カレの愛しいペニスを「チャペル」に見立てて、その愛撫法を伝授。まずは各部位のキュートな呼び名に注目(ハート)〉
そのキュートな呼び名はこちら。
・亀頭の一つ目小僧
・チャペルの屋根
・桃の割れ目
・愛の果実
・愛の吊り橋
・チャペルの軒下
・樹木ヴァージンロード
・アヌスの細道へつづく…

そのあとに綴られる愛撫実践指南には「螺旋階段を上るようにヴァージンロードを歩く」「ヴァージンロードで快感サーフィン」といった見出しが並ぶ。いったいどういう愛撫なんだ……!? 気になった人はぜひ「anan」をチェック。Kindle版もあります
(青柳美帆子)