2014.03.21(FRI)、22(SAT) at 国立競技場
●1日目
L'Arc-en-Cielが国立競技場に帰ってきた! そんな言葉を使いたくなったのはあまりにもこの場所が4人に似合っていたから。彼らはこの広い空間を見事に活かしたライヴを展開していた。
メンバーの映像がLED画面に映し出され、ステージ上に4つのカプセルが出現して、その中からyukihiro(Dr)、ken(G)、tetsuya(B)、hyde(V)の順に登場しての始まり。オープニングナンバーはその演出と連動するかのような「get out from the shell」。まさに殻の中から外へ、タイムカプセルに乗って1年10ヶ月の時を越えてワープしてきたかのようだ。紙吹雪が舞う中での「SEVENTH HEAVEN」では8万人が一斉に飛び跳ねていく。このスケール感と一体感はL'Arc-en-Cielのライヴだからこそ。
「大きい声いっぱい出してくれ。君達の力で国立に火をつけてくれ」というhydeの声でカウントダウンが始まり、コール&レスポンスが大きくなると、聖火台に火が灯り、「REVELATION」がスタート。8万人による壮大な点灯式だ。
「会えてうれしいな。また国立でやるとは思わなかったね。すごい光栄です。久しぶりにリハーサルでメンバーが集まったんですけど、バンドなんで、1年10ヶ月ぶりでも演奏はできるものだなと思いました。今日は全力でかわいがってやるから一緒に楽しもうぜ」
そんな言葉どおりのステージ。代表曲を網羅しながらも、「Blame」などレア曲も織り交ぜつつ。秀逸だったのは会場内が一体となっての演出。事前にカラフルに点滅する“L'edバンド”(無線機能付きリストバンド型フルカラーLEDライト)と白色と水色2種類のポンチョ“L'ポンチョ”が観客全員に配布されていて、それらが演出の小道具として見事に活用されていた。L'edバンドによって、L'Arc-en-Cielという光の文字が浮かび上がる場面もあり。
中盤はアリーナ後方のサブステージでの演奏。白いドームの中から4人が登場するサプライズ演出に大歓声。サブステージで歌われた「未来世界」ではhydeの優しい歌声とtetsuyaの表情豊かなアップライトベースが印象的だった。「あなた」は会場内も一つになってシンガロング。エモーショナルな歌と演奏にグッとしたのは「wild flower」。未発表の新曲「EVERLASTING」も初披露された。哀愁と情熱がにじむhydeの歌声、tetsuyaとkenとのツインギター、yukihiroの繊細かつ自在なドラムが新鮮に響いてきて、バンドの未来が垣間見えるようだった。「雨降ってるみたいやね。カッパきて。すごいキレイやね。ええもん観せてもろたわ。
(取材、文/長谷川誠)
●2日目
前日は「get out from the shell」からスタートしたが、この日1曲目に演奏されたのは、常に最高の姿を更新し続けるL'Arc-en-Cielの現時点での最新曲「CHASE」だった。続けて「SEVENTH HEAVEN」と、総立ちのファンに向けてドライヴ感あふれるナンバーをお見舞いする。「国立、始めようぜ! 国立、底力見せてくれよ。大きい声出せる? オマエたちの力で国立に火を点けてくれ!」とhydeが客席をあおり、黒地に“L”の文字をあしらったフラッグを掲げると、「REVELATION」のイントロに乗せたコール&レスポンスで、8万人によるカウントが始まった。
「30、29、28、27、……10、9、8……3! 2! 1! 0!!」
LEDスクリーンが“0”を示すと同時に、国立競技場の聖火台に火が灯った。
アカペラの歌いだしに悲鳴があがった美しい旋律の「BLESS」では、kenがスツールに腰掛けてアコースティックギターを。そしてエレキに持ち替え、エモーショナルにギターサウンドを聞かせる。誰もがステージをじっくりと見守り、歌声に聞き入り、8万人が集まっているとは思えないほどの静寂が会場を包み込んだ。
辺りがだいぶ暗くなってきた頃に「READY STEADY GO」。それまで黙々と正確にリズムを刻み続けていたyukihiroがエンディングでドラムプレイを披露。ドラムをまっすぐに見つめる精悍な表情とストイックにパフォームする姿に、彼の内に秘めた情熱を見た想いだった。
各メンバーがプロデュースしたグッズを紹介するユニークなCMのあと、アリーナ後方に白い大きなバルーンが出現。その球体が破裂すると、中にはサブステージが用意されており、メンバーがスタンバイしていた。アコースティックセットで「metropolis」。8万人が手にしたL'edバンドが青い色を放ち、一面に青の世界が広がる。その幻想的な光景にたくさんのため息がこぼれ、hydeも「みんなのおかげやな。
転換時には、壮大かつ華麗なプロジェクションマッピングも実施された。水の中を思わせる音が流れると、入場時に手渡された白とブルーのポンチョを着用した観客が作るキャンバスをクジラのシルエットが悠々と泳ぎまわる。8万人がキラキラした笑顔でその様子を追うも、この映像を作り出しているのはここにいる全ての人だという不思議な経験だった。kenが登場すると、流れていた水音につなげるように音を紡ぎ、やがて「MY HEART DRAWS A DREAM」のイントロを弾き出す。開けたサウンドに<夢を描くよ~>という大合唱が一体感と大きな感動を生んだ。
クライマックスは最後のブロックに残されていた。先に、L'Arc-en-Cielの現時点での最新曲は「CHASE」だと書いたが、なんと新曲が用意されていたのだ。kenが作曲し、hydeが詞をつけたその曲は「EVERLASTING」。hydeの歌う主旋律の裏側でループする打ち込みによる副旋律が特徴的な、L'Arc-en-Cielだからこそできるテンポ感のドラマティックなナンバーだ。
ここでkenが口を開く。オリンピックの話から、防寒対策のため、股間にken言うところの“振ってあたたかなるカイロ”をたくさん貼っているが、ギターで押されたところが加熱し続け、そこだけが熱くなっているというエピソードへ(笑)。そして国立競技場の話をするもうまく伝わらず、ken「あ~、やっぱエロに頼らんと…!」、hyde「大丈夫、どうぞやってください」、ken「どっち?」、hyde「エロやってください」、ken「!! エロー?(歓喜)」というやり取りがなされ、下ネタトークへ(笑)。hydeのお許しをもらったkenは嬉しそうに「あらゆる机の角は女性の股間の高さに設定してある!」と力説し、「そんなわけないやろ」という客席からの白い視線を感じると、「ほんまやって! ちょっと聞いて!!」と大興奮。そして「すごいなー、女子って! 国立ー! 競技場ー! 『Caress of Venus』!」と、強引な流れで(笑)残りのパートへと突入した。「Link」の間奏では、tetsuyaが「おげーんきー? 続き聞きたいー?」とファンを扇動、ラストに向け加速する。
hydeが客席を見渡しながら最後のMCを始める。
「(国立競技場は)すごくいい場所だなと思っていて。ずっと炎を見ながら歌える場所って、なかなかないんでね。感慨深いです。みんなすごくキラキラしてるから、みんなで一緒にステージを作っている感じがして」。
ここまで言うと、ステージの正面の客席にL'edバンドで彩られた“L'Arc-en-Ciel”の文字が浮かび上がった。場内に感嘆の声があがり、メンバーもその光景を感慨深そうに眺めた。
「人がいないとできないですから。ありがとう。生まれ変わる前の国立で最後に演奏できてすごく光栄です。(新たに)完成したカッコいいところで、またこうやって演れたら嬉しいなと思います。それまでL'Arc-en-Cielは相変わらずかもしれないですけど、でもこういう素敵な光景を見ると、とてもいいバンドだなと思います。再認識しますね。それまで皆さん、ついてきてください」
L'Arc-en-Ciel、2度目の国立競技場公演のクローズドナンバーは「あなた」。客席ではL'edバンドが虹色に変化し、息をのむような美しさに包まれる。そして演奏が終わると同時に3万個の風船がアリーナから放たれ、夜空には千発の花火が打ち上げられた。「また会おうね」と、hydeが再会を誓う言葉を残し、【L'Arc~en~Ciel LIVE 2014 at 国立競技場】は閉幕した。
終演後には嬉しい発表がされた。2012年に世界10ヶ国14都市で開催したワールドツアーの密着映像が『DOCUMENTARY FILMS ~WORLD TOUR 2012~』として今年12月に映画化されること、今回の公演で初披露したhyde作詞、ken作曲による新曲「EVERLASTING」が8月13日に国立競技場公演記念盤としてリリースされること、そして今秋国立競技場公演の模様が映像化されること。【L'Arc~en~Ciel LIVE 2014 at 国立競技場】を境に、L'Arc-en-Cielがまた動き出す…! 「また会おうね」というhydeの言葉が、頭の中で鳴り響いた。
(取材、文/田上知枝)
≪セットリスト≫
●1日目
01. get out from the shell
02. SEVENTH HEAVEN
03. REVELATION
04. GOOD LUCK MY WAY
05. BLESS
06. HONEY
07. winter fall
08. New World
09. READY STEADY GO
10. the Fourth Avenue Caf(e)
11. 未来世界
12. あなた
13. MY HEART DRAWS A DREAM
14. CHASE
15. X X X
16. wild flower
17. DRINK IT DOWN
18. EVERLASTING(新曲)
19. Blame
20. Caress of Venus
21. Driver's High
22. Link
23. 虹
●2日目
01. CHASE
02. SEVENTH HEAVEN
03. REVELATION
04. GOOD LUCK MY WAY
05. BLESS
06. HONEY
07. winter fall
08. NEXUS 4
09. READY STEADY GO
10. metropolis
11. 未来世界
12. 花葬
13. MY HEART DRAWS A DREAM
14. the Fourth Avenue Caf(e)
15. X X X
16. shade of season
17. DRINK IT DOWN
18. EVERLASTING(新曲)
19. Blame
20. Caress of Venus
21. Driver's High
22. Link
23. あなた
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