■闇から光へ尿意ドーン!ケツメイシTOUR 2013
~エッ?追加公演?いつやるの?…今でしょ!~
2013.08.17(SAT) at 横浜アリーナ
(※画像21点)

活動をスタートさせてから、20年ものキャリアを重ねてきたケツメイシ。4月から始まった通算7度目で、レーベルを移籍してからは初となる全国ツアーも、大阪、横浜、沖縄の3ヶ所で追加が出る盛況ぶりだ。
新しい風を取り込んだ彼らの“今”の姿を見届けるべく、横浜アリーナ公演の初日を訪ねた。

照明が落とされ、ハイテンションなダンスチューンが轟くと、オーディエンスから「オイ! オイ!」の大合唱がわき起った。ステージには人型の照明がずらりと並び、主役4人の登場を待ち受ける…かと想いきや、それはLED照明を纏ったダンサーで、華麗な光のパフォーマンスでまず観客の度肝を抜いた。と同時に、ステージ中央で膨らんだ巨大バルーンを割って、メンバーが登場。「叫べー!」の大号令とともに、最新アルバムの1曲目「脳内開放」で“頭の中を解き放て”とメッセージを贈られたのだから、盛り上がらないワケがない。タオル曲「guruguru」、「1万2千人の手を(こっちに)見せて!」と大蔵が煽る「papamama syndorome」とアップチューンで畳み掛けてくる4人に、2万4千の手も前後に大きく振って応戦していた。


今回の公演は、本公演とはセットリストが若干変わり、中盤では、RYOの高速ラップやロックンロールなトラックで体内温度がぐっと急上昇する「夏とビールとロックンロール」や、RYOJIのヴォイスに胸キュンしてしまうハートウォームでエバーグリーンな名曲「君とつくる未来」など、多彩な過去のヒット曲も出し惜しみせず披露された。ちなみに、MCではRYOが中心となり、ここではお伝えできないような(苦笑)下ネタも織り交ぜつつ、時おり客席から突っ込みを入れられながらの和やかなトークに誰もがリラックスした笑顔になった。

MCでは笑わせる一方、攻めたりホロリとさせたり、背中を押したりと、頭の中の風景がどんどん移り変わるような振り幅の広い楽曲群も彼らの魅力だが、このライヴではダンサーたちによって可視化されるという演出が実に見事だった。たとえば、「夢の中」ではシフォンを纏った女性ダンサーが幻想的に舞い、「GOKON Queen」では妖艶なベリーダンサーが魅惑の“合コン”ワールドへと誘う。この演出での最高潮は、何といっても「EZ DO DANCE」だ。今回のツアーでずっと歌われてきたTRFのカヴァーで、10人のダンサー全員がSAM氏になり切って躍るのだ。
それだけでも圧巻なのに、曲の途中からご本人が乱入(!!)。歓声が一段と大きくなったことは言うまでもない。

ところで、「GOKON Queen」前にはかねてより親交のあるお笑い芸人のアンタッチャブル・柴田英嗣を交えてショートコントを繰り広げたのだが、メンバーが容赦なくハリセンで叩かれるなど、お笑い芸人ばりのステージに圧倒された。

後半は、『名曲劇場 君とボンバイエ 2』と銘打って、ストレートな舞台演劇と楽曲のコラボレーションを実演。この追加公演では、ツアー本編で上演された続編を見せたのだが、プロレスに青春をかけた男女3人の苦悩や再生を描いたドラマは舞台として見応え十分。物語にリンクする「涙」や「そばにいて」「手紙~未来」などの誰もが知る名曲を、ステージ上の3人が映画の挿入歌のようにシーンに合わせて生歌で響かせるという演出はとても斬新で、新たなエンタテインメントの形を提示しているように見えた。


終盤に向けては、盛り上げ隊長の大蔵が「知らない曲も知ったフリ! ライヴの最終ブロックに行きますよ~!」と熱く、温かく呼びかけ、それに観客も精一杯応じるようにして共に駆け抜けた。

アンコールもまた見どころが満載。きらびやかなサンバの衣装を纏ったダンサー達20人が練り歩く「カーニバル」や、メンバー自身が出演するCMでもおなじみの「ボラーレ」で賑々しく幕を閉じた。

サプライズの連続で濃密な3時間はまるで、夏の花火のようにド派手に打ち上げながらも、どこか哀愁ある余韻を残すものだった。その感覚はまさにケツメイシの持つ世界観そのもののようにも思える。楽しくて笑えて泣けて…、決して難解ではないが、その実非常によく練られた質の高い総合エンタテインメントを、十二分に堪能した夜だった。

(取材・文/橘川有子)

≪セットリスト≫
1. 脳内開放 - know ya mind free
2. guruguru
3. papamama syndrome
4. 君にBUMP
5. 夏とビールとロックンロール
6. トレイン - THE COMPANY "TTFK" Remix
7. 君とつくる未来
8. 夢の中
9. LOVER
10. GOKON Queen
11. EZ DO DANCE(TRFカバー)
12. LOVE LOVE Summer
13. お二人Summer
14. 名曲劇場「君とボンバイエ 2 -激闘!過労!古田よ永遠(とわ)に…」
(1)涙
(2)そばにいて
(3)闘え!サラリーマン
(4)恋の終わりは意外と静かに
(5)~そばにいて
(6)手紙~未来
15. Make & Break
16. 月と太陽
17. YOUR WAY
<アンコール>
1. 夏の思い出
2. カーニバル
3. ボラーレ ~ Nel Blu, Dipinto Di Blu

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