■UVERworld 2012年ツアー
2012.07.08(SUN) at 横浜アリーナ
(※画像17点)

「昨日の俺たちに負けたくないんだ」

「勝者臆病者」のイントロでTAKUYA∞(Vo.)が叫んだ言葉は、UVERworldというバンドの姿勢をもっとも的確に表現している気がする。これまでの自分に、今日の自分が打ち勝つ――。
東京ドーム公演という大きな成功を成し得た今なお、UVERworldはさらなる高みを目指し続けている。大事なもの…彼らにとっては音楽を追い求め、それを守るために邁進(まいしん)し、ストイックなまでにライヴを重ねる。そしてステージで、「これまで行なってきたどのライヴより、最高のライヴ」を繰り広げて見せるのだ。

「今日、勝負しようぜ! 勝つのは、今日のお前たちか、俺たちか」

UVERworldのライヴで強く励まされ、こんな自分にも、何かできることがあるかも知れない…と、そんな想いを抱いたことのある人は多いことだろう。彼らにとって、ライヴは自分たちの全てを賭けた真剣勝負。同時に、ファンにとっても。
そんなライヴがアツくならないわけがない。5月6日の長崎・アルカス佐世保公演からスタートしたUVERworldの全国ツアー。全国23ヵ所で開催され、そのツアーファイナルとなったこの横浜アリーナ2DAYSの最終日で、バンドはオープニングナンバー「KINJITO」、続く「GOLD」から、強く唸りをあげるような強烈なステージを展開。バンドのアティチュードに似つかわしい、まるで止まることを恐れるかのように、この上なく高いテンションで臨んできた。

メンバーの汗と激しい息遣いをすぐそこに感じるような、迫力に満ちたパフォーマンスが続く。克哉(Gt.&Cho.)、彰(Gt.&Cho.)、信人(Ba.&Cho.)はステージを走りまわって観客を扇動したかと思えば、自身の立ち位置でじっと歯をくいしばりながら、まるで何かの修行かと思うほど黙々と、真摯に音に対峙する。
真太郎(Dr.)の見事なタムさばきは思わず見とれてしまうほどで、その技術力は彼らの年代のドラマーの中では屈指だろう。

「AWAYOKUBA-斬る」では、レーザーの光の網が会場中に張り巡らされる。続く「いつか必ず死ぬ事を忘れるな」をプレイする前に、「本当に今、この時間を離したくないと思うよ。わかるだろ?」と、TAKUYA∞が漏らした。

そして、「自分が身を削って作った音楽をみんなに受け入れてもらって、一緒に歌ってくれて、普段の生活でこれ以上最高のことって感じたことがないです。ありがとう」と、ファンに感謝の言葉を伝えると、10年以上前、一番最初に作ったというバラード「優しさの雫」を披露。
TAKUYA∞が情熱的に噛みしめるように歌い、情緒あるサックスが寄り添った。

インストゥルメンタル「Massive」ではTAKUYA∞がドラムを、「一石投じるTokyo midnight sun」ではピアノを演奏する場面も。20歳から歌を始め、ピアノを弾くようになったのは24歳を過ぎてからというTAKUYA∞が、「何を始めるにも遅いことはない」という自身の言葉を身をもって証明する。そして、夢を歌った「NO.1」で、TAKUYA∞が人目もはばからず涙を流す。言葉に詰まって歌えなくなった彼を、ファンが大声で歌いサポートした。

ラストナンバー「MONDO PIECE」を演奏する前、TAKUYA∞がみんなに話しかける。
ファンは彼の言葉を一つも聞き漏らすまいと、ステージに向き合った。

「誰かの本気の瞬間を見て、奮い立たせられることってあるでしょ。キラキラしたものがどうしようもなくカッコよく見える。今日、みんなにそれを感じたんだ。常にそれが俺達の糧になっているし…なんか、感謝の気持ちばっかでごめんね。でも、本当に感謝してるんだよ、本当にありがとう! 俺達はみんなのそういう対象になっていたいし、俺達を見たら、自分ももっと頑張って生きようとかって思ってもらえたら本当に嬉しいし。
俺は40になっても、50になっても、何かを始めてみんなをびっくりさせるよ。だから、いつでも来いよ。俺達いつだって、ここで本気でライヴやってっからさ。いつでも、寿命を縮めてでも、歌い叫んで本気の瞬間を見せっからさ」

ステージの上のTAKUYA∞は、近寄りがたいくらいのオーラをまとい強い言葉を発したかと思えば、まるで友達に気持ちを吐露するかのようにファンに親しげに話しかける。UVERworldのメンバーがファンを何より大事にしているのは、ライヴでのファンへの接し方を見れば明らかだ。そんな最高の関係性から生まれる、最高の空間がここにはあった。


8月22日、UVERworldを描いたドキュメンタリー映画『THE SONG』が公開される。きっとこの作品には、彼らの“本気”の瞬間が詰まっていることだろう。UVERworldが何を歌に託しているのか、そしてファンに何を伝えたいのか―。その答えが明らかになるはずだ。
(取材・文/田上知枝)

≪セットリスト≫
1. KINJITO
2. GOLD
3. パニックワールド
4. 畢生皐月プロローグ
5. BABY BORN & GO
6. 勝者臆病者
7. ace of ace
8. バーベル~皇帝の新しい服ver.~
9. AWAYOKUBA-斬る
10. いつか必ず死ぬ事を忘れるな
11. 優しさの雫
12. Massive
13. 一石を投じる Tokyo midnight sun
14. 魑魅魍魎マーチ
15. 7th Trigger
16. NO.1
17. スパルタ
18. CORE PRIDE
19. MONDO PIECE

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