■New Single『Dream Girl』インタビュー(1/2)
21年目に紡がれた新たなラブバラード
デビュー丸20年を迎えた昨年12月21日からスタートした全66公演にものぼる全都道府県ツアー【ゴスペラーズ坂ツアー2014~2015“G20”】を今年7月に完遂したゴスペラーズ。夏には様々なイベントへ出演し、8月には東名阪のブルーノート&ビルボードツアーも行うなど、まさにライブ三昧でアニバーサリーイヤーを一気に駆け抜けた。そんな彼らが21年目初のシングル『Dream Girl』をリリース。「永遠(とわ)に」「ひとり」といった大ヒットナンバーを彷彿とさせる王道ラブバラードに真っ向から挑んだ表題曲には、未来に向けた新たな意志が注ぎ込まれている。その想いを村上てつや、安岡 優の二人に聞いた。
(取材・文/もりひでゆき)
改めて有形無形の財産を手にすることができましたね
――昨年からデビュー20周年のアニバーサリーイヤーを駆け抜けてきたゴスペラーズ。その時間を振り返ってどんなことを思いますか?
村上てつや(以下、村上):昨年の【ゴスペラーズ坂ツアー2014 “ゴスペラーズの「ハモれメロス」”】というツアーのスタートが9月25日だったんですよ。その後、【ゴスペラーズ坂ツアー2014~2015“G20”】ツアーや夏のイベント、ビルボードツアーなどを経て、【SOUL POWER】が9月23日で終わるんです。ってことは、本当に1年間、ずっとライブをやり続けてきたってことなんですよね。
安岡 優(以下、安岡):ワンマンステージで100本くらいはやっていて、イベント入れたら120本くらいになったのかな。
村上:うん。20年目にしてね、まさにこれ以上はもうできないだろうというレベルで歌い続けられたことは本当に最高だったなと思います。ワンマンライブでも自分たちの幅を見せることができたし、これまで積み上げてきたものを様々なタイプのイベントに出ることで多方面に投げられたのも良かった。改めて有形無形の財産を手にすることができましたね。
――安岡さんはいかがですか?
安岡:この1年、様々なライブをする中で、20年の歴史の中で作ってきた楽曲をのべ100曲くらいステージに乗せることができたのが嬉しかったです。どれだけ皆さんに愛された曲であっても、どれだけ自分たちが愛している曲であっても、ステージに乗せて歌ってあげないと曲に対しての恩返しができないと思うので。そういった意味でも、これ以上ない幸せな20周年を迎えられたと僕も思います。
――そんな充実した20周年を経て、21年目最初のシングルとして届けられるのが「Dream Girl」です。表題曲はゴスペラーズらしい、王道ラブバラードになっていますね。
村上:この20年を振り返ると、「永遠(とわ)に」(00年)、「ひとり」(01年)という楽曲や『Love Notes』(01年)というアルバムで僕らのことを知ってくれた人が一番多かったと思うんですよ。なので、そこで出会った人たちが当時抱いた気持ちに直接投げられるような楽曲を21年目の最初に作ろうっていう方向性をまず決めたんです。それは今回のシングルとしての方向性であり、同時に次のアルバムの方向性でもあるという想いで。
――ブレイクの大きなきっかけとなったラブバラードに対して、今のタイミングで改めて真正面から向き合おうと思ったのはどうしてだったんでしょう?
安岡:デビューからの最初の10年は、自分たちのスペシャルを示すための時間だったと思うんですよ。ある種の突破口として、ラブバラードのゴスペラーズというものを届けるための10年だった。そこでひとつの頂を作ることができた上で、次の10年っていうのは他のスペシャルの陣地を広げていくための時間になったんですね。
――アップテンポなダンスナンバーなど、より幅広い音楽性を打ち出してきましたよね。
安岡:うん。ヒャダインと一緒にやってみたりとか、ロックフェスに出させていただいたりとか、ゴスペラーズの領地を広げてこれた。だからこそ今、最初に示すことができたスペシャルの高さを上げられる時期になってきたなって思ったんです。なんのてらいもなく、僕らの王道を提供できる時期になった気がしたんですよね。
――本作を聴かせていただくと、キャリアに裏打ちされた深みも感じられますし、明らかに今のゴスペラーズの歌が堪能できますよね。
村上:バックトラックの作り方やコーラスの組み立て方は15年前をちょっと意識しながらやっていったところもあるんですけど、そこを意識したとしても自然と変わってるところはちゃんと出るんですよね。15年前の歌にはいい意味での必死さがあるんだけど、今は当然そことは違った表現になりますから。
安岡:うん。20年分のテクニックがちゃんと含まれていると思います。とは言え、僕らがやっているのはポップスなので、サラッと当たり前に届けなければいけないわけで。
――決して小難しく聴かせるのではなく。
安岡:そう。そこが昔よりも上手くなったんじゃないかなって思いますね。
――具体的にボーカルに関してはどんな思いでレコーディングしましたか?
村上:今回は譜割りがちょっと難しい曲なんで、僕はとにかく丁寧に歌うことを心がけましたね。メロディや歌詞の世界に感情移入して歌いました。
――とんでもなく甘い仕上がりですよね。
村上:ここまで甘い曲は僕らとしても久しぶりですね。
安岡:曲自体がホントにスイートですから。しかも、今回初めて作詞をお願いしたTIGERさんがドンピシャの甘さを持った歌詞を書いてくれたので。コーラスに関して言うと、クローズドな関係性のラブソングなので、近さみたいなものをすごく意識しましたね。一言で言うと、耳元でささやいているようなウィスパー感。うっとりする近さを持ったコーラスは日本において僕らの専売特許だと思うけど、それに関しても20年経ったからこその表現ができた気がしてますね。
自分の個性を提示するテクニックは、みんなほんとに上手くなったなぁって
――カップリングには「星降る夜のシンフォニー」というバラードも収録されています。作詩は安岡さんですね。
安岡:はい。この曲は21年目のスタートを切る僕らの物語です。デビュー当時、星空を見上げてただけの僕らが、ある時、ヒットに恵まれて星を間近に見ることができた。そこからはるか10年以上経った今の僕らが思うのは、単純に夢を見るとか諦めないとかそういったことではなく、昨日と同じかもしれない明日を、両手を広げて迎えていくことで新たな物語が生まれてくるんじゃないかなっていうことなんですよね。そんな想いを、「星空の5人~WE HAVE TO BE A STAR~」「星屑の街」という曲に続く、“星3部作”として書くといいかなと思ったんですよね。
村上:このメッセージはわりと同世代の男の人なんかに届けたいタイプのものでもあるんですよ。ある程度、生きてくると日々、見たことのある景色が繰り返されるものなんだけど、その中には新しい五線譜は確実にあるわけで。だったらそこにまた新しい曲を書いていこうよっていうね。
――そういったメッセージを、5人のメンバーが順番にリードをとることで伝えていく構成にグッときました。ここまで共に歩いてきた仲間感が滲み出ていて。
村上:そういったボーカルワークも10年前とは変化したところではありますよね。
安岡:うん。どのパートを歌うかによって、自分の持ってるどの個性を出すべきかっていうことが明確にわかるようになったところはあると思う。前のメンバーの歌、そこまでの物語を聴いて、その上で必要な自分の個性を提示するテクニックは、みんなほんとに上手くなったなぁって思いますね。
――先ほどお話にあったように、本作のコンセプトはアルバムへと繋がるものでもあるんですよね?
安岡:そうですね。ちょっと間隔は開いてしまいますが、これがまさにリードシングルと言えるようなアルバムをこの後、みんなで作っていきます。もう一度、どこまでもうっとりさせるようなアルバムをお届けしますので。
村上:当時、“Soul Serenade”(00年リリースのアルバムタイトル)というこれ以上ないキャッチコピーを探せたので、今回もまずはそれに負けないキーワードをみんなで探すことから始めたいなって思いますね。そこが決まるとパッケージにしたときに、僕らの思いがよりいい形で届くと思うので。
――インタビュー2へ
≪動画コメント≫
≪リリース情報≫
New Single
『Dream Girl』
2015.09.09リリース
【初回生産限定盤】(CD+DVD)
KSCL-2604~5 / ¥1,400(税抜)
【通常盤】(CD)
KSCL-2606 / ¥1,000(税抜)
[収録曲]
1.Dream Girl
2.星降る夜のシンフォニー
<DVD> ※初回生産限定盤のみ収録
Sweet & Mellow Medley「月明かりのドレスで」
From 2015.5.23(sat)「ゴスペラーズ坂ツアー2014~2015“G20”」@中野サンプラザホール
月光~Heartbeats~裸身~Yes,No,Yes...~告白
≪関連リンク≫
ゴスペラーズ オフィシャルサイト
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