森喜朗氏といえば、なんと言ってもその失言の多さ! 近年も、新国立問題に対して「生牡蠣がドロッと垂れたみたい」、浅田真央に対して「大事なときには必ず転ぶ」などインパクトの強い失言を残しています。
では昔はどうだったのでしょうか。
総理大臣になる前と総理就任中を中心に振り返っていきましょう。

「横浜に住む韓国人労働者がまとまれば大変な軍事行動ができる」(1992年)


1992年、ロサンゼルスで大規模な暴動が起きた。この暴動の内容というのが、黒人たちが韓国人が経営する店舗を襲い、それに韓国人が銃で応戦するという物騒なもの。森氏は当時政調会長として、講演した際、「横浜にも1500人くらいの韓国から来た労働者がいる。この人たちはベトナム戦争に参加しているから銃を撃つことは不慣れでない。1000人くらいまとまったら、大変な軍事行動が出来るくらいになる、という恐れがあると言われている」と発言しました。
この発言に対し、韓国マスコミは「妄言」と批判し、日本人が韓国人に対して強い偏見をもっているという指摘も見られました。


「挨拶に参りましたとやると、エイズが来たように思われた」(2000年)


2000年、当時幹事長だった森氏は福井県で行われた講演で、初めて立候補したときのエピソードについてこう語ります。「『立候補のご挨拶に参りました』と私が行くと、農家の方が全部家に入っていきました。なんかエイズが来たように思われちゃってね」
この発言に民主党政調会長だった管直人氏が猛反発し、謝罪を求めた。結局、森氏が薬害エイズ事件の原告団などと面会し、「誤解を生じる発言についてはお詫びをする」と陳謝したことで沈静化しました。

「アメリカでは停電になると必ずギャングや殺し屋がやってくる」(2000年)


エイズ発言では謝罪したものの、森氏の問題発言は続きます。2000年2月、「2000年問題」で家庭がどう対処したかについて「日本では水やカップラーメンを買ったが、アメリカではピストルを買った。それはアメリカで停電が起きるとギャングや殺し屋がやってくる。アメリカはそういう社会だ」と発言。

先述の発言では、韓国についての発言で問題となっていましたが、アメリカについての発言でも問題を起こすあたりが森氏らしいです。

「日本は天皇中心の神の国である」(2000年)


数多くある森氏の発言の中でも、これがもっとも有名な失言ではないでしょうか。この年の5月、神道政治連盟の祝賀会であいさつし、いわゆるこの"神の国"発言をします。森氏の「日本はまさに天皇を中心とする神の国」という発言にもっとも強く反発したのが、連立与党を組む公明党と、その支持母体の創価学会でした。
「国民主権の憲法に反する」などと、公明党や創価学会、野党からも猛批判を浴びます。一度は「どこが間違っているんだ」と語っていた森氏ですが、周囲の進言もあって最終的には陳謝しました。

「『えひめ丸』事故の連絡を受けたが、連絡が取りやすいのでプレー続行した」(2001年)


2001年2月10日、ハワイ沖で日本の高校の練習船「えひめ丸」とアメリカの原子力潜水艦が衝突。
最終的には9名の死者を出す痛ましいものとなりました。この事故の第一報を森氏はゴルフ場で聞いたのですが、秘書官から「ゴルフ場にいる方が連絡が取りやすい」と言われたために、なんとそのままプレーを続行します。このあまりに無神経な行動が連日、マスコミに批判されていました。

このように森氏は過去にもさまざまな失言を繰り返していることが分かります。しかし、森氏と話したことのある人たちはみな、森氏は面白い人だと語っています。森氏はその場にいる人たちを楽しませようと発言することが、迂闊であるために失言になってしまうという見方もできるかと思います。

確かに発言のそれぞれを見ると、許されないことも多いですが、どこか憎めないというのも森氏の魅力のひとつではないでしょうか。
『あなたに教えられ走り続けます』