「失楽園」は渡辺淳一が1995年から日本経済新聞で連載していた小説であり、その後映画化やドラマ化されて大きな話題となった。映画では黒木瞳が、そしてドラマでは先日亡くなった川島なお美さんが主演を務めている。
また、不倫することを「失楽園する」と言うことが、当時のサラリーマンや主婦の間で流行したことでも知られている。

「失楽園」とはどんな話なのか


出版社で編集者をしている久木祥一郎は、書道講師の松原凛子と出会う。二人とも既婚者だ。恋に落ちた二人は人目を忍んで会うようになる。二人の関係はどんどんエスカレートしていき、久木はマンションを用意して会うようになるが、それぞれの夫や妻に不貞を知られることになる。知られても止められても邪魔されても、会うことをやめられない二人はやがて……

このように「失楽園」では、通常の男女の出会いとは違った、特別な性愛を求めている。本人たちは純粋な愛を求めているかもしれないが、配偶者や周囲の人物はそうは思わない。
周囲の人が傷つき、憎しみを深めていく様子も劇中では描かれている。

映画「失楽園」の反響


「失楽園」は森田芳光監督、役所広司、黒木瞳主演で映画化された。閑職に左遷された主人公が美人人妻に出会って恋に落ちるという、現実にはなかなかあり得ないような設定に憧れ、サラリーマンや主婦層が興味を持って観に行く姿がよく見受けられた。

純愛なのか?単なる色物なのか?


映画の反応は賛否両論に分かれた。これは至高の愛を求める純愛映画だという感想を持った人。いや、どこにでもある単なる色物映画じゃないかという人。
確かに、現実にこんなことはあり得ない、不倫はそもそもいけないという否定派が多かったのも事実。とはいえ、現実に自分にはできないことだからこそ、日頃の不満を忘れて憧れて楽しめたという層も多く存在し、社会現象化へと繋がった。


渡辺淳一の愛の遍歴


「失楽園」を書いた渡辺淳一は死ぬまで性愛について書いている。渡辺自身、病院に勤務していた30代の頃に妻子を残して愛人と上京し、作家になった。そして次々と愛の遍歴を重ねた人である。
その後も、奔放な生活で知られ、テレビドラマ「失楽園」で主演を務めた川島なお美とも深い関係であったことが知られている。事実、1996年には2人が北海道旅行に出かけたことがスクープされた。

このような経歴を持つ渡辺淳一が書く性愛モノの作品は賛否別れる。
とはいえ、好きだという人にはかなりの支持を集め、実際に「愛の流刑地」もかなりのヒット作となっている。
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