現在、Mr.Childrenをはじめとする様々なアーティストのサポートやレコーディングに参加しているSUNNY氏。Mr.Childrenの桜井和寿は以前、「ほとんどの曲をハモってくれていて、ゆずでいうところの岩沢くんくらい歌っています」と語っていました。

そんなSUNNY氏はいったいどんな人なんでしょうか。アマチュア時代の話から、サポートメンバ―だからこそ分かるアーティストとの秘話、ハモリなどの技術的な話題まで広く聞いてきました!

サッカー選手としても凄かったSUNNY


SUNNY氏は学生時代、音楽だけでなく、ジュニアユースでは全国準優勝するほどサッカーの腕も凄かったんです。しかし、この経験が自身を音楽の道に進めたきっかけでもあるそう。
「北澤豪さんがいた読売クラブユースと決勝で対戦したんですが、延長後半で失点して負けました。自分のいたチームとは違い、相手は本当に楽しそうにサッカーをしてたんです。そんな楽しそうにプレーするチームに負けたのがショックで、音楽に少しずつ気持ちが傾いていきました

その後、19歳で上京。兄らと組んだユニットで早速、伝統的なコンテストで優勝を果たします。

「勝ち上がって最終的に関東甲信越大会で優勝しました。松任谷正隆さんからは『君は打ち込みとか全体的な音のセンスが良い』と褒められましたね」
キーボーディスト・SUNNYが語るMr.Childrenらとの秘話とハモリの真髄

しかしそのユニットは消滅。その後はTHE ORANGESというバンドを組み、昔のブリティッシュポップ系バンドをしていたと語ります。
「このバンドでは、『えびす温泉』(イカ天の後番組)という番組で4週まで勝ち抜き、後1週でNYに行けるというところまでいきました」とSUNNY氏。ちなみにこの「SUNNY」という名前もTHE ORANGESでの活動時に付けられたもの!

SUNNYの転機となったオーディション


一見すると順風満帆のようにも見えますが……プロとして音楽で食べていくのはやはり一筋縄では行かないらしい。
転機となったのは1996年、JUN SKY WALKER(S)メンバー・寺岡呼人氏のソロライブにおけるサポートメンバーオーディションでの合格でした。SUNNY氏が「プロの第一歩だった」と振り返るように、その後は立て続けに、ゆずやMr.Childrenのサポートメンバーを務めています。

ゆずは寺岡氏が彼らをプロデュースしていたきっかけから。Mr.Childrenは寺岡氏のライブをメンバーとプロデューサーの小林武史氏が見に来たとき、SUNNY氏の演奏を「とても良い」と評価したことがきっかけでした。

SUNNYのソロ活動


SUNNY氏はMr.Childrenなどのサポートメンバーなどで活躍する傍ら、2000年からはソロ活動もしていました。当時は、“いろんな人のバックで弾いている人と思われがちだが、自らの歌で勝負したい”といった野心的な発言もしています。
「今思えば、根拠のない自信でしたね(笑)。とはいえ、3年間メジャーで思い通りにやれたこの経験はとても意味があり、その後の活動にも生かされています

ソロ活動の難しさはどこにあるのでしょうか。SUNNY氏はサポートで自身が付いていた"売れている人"の声と自分の声との違いを感じたと語ります。

「僕自身、サポートでハーモニーを付けて丸く包み込むのは得意なんですが。売れている人の声は奇跡なのだと感じましたね」
キーボーディスト・SUNNYが語るMr.Childrenらとの秘話とハモリの真髄

例えばMr.Children・桜井氏の声をSUNNY氏は、「桜井君の歌い方は今の日本の歌い手の中では稀なもの。ただメロディーを響かせるのではなく、歌詞が後からそれを飛び越えて刺さってくる歌い方なんですよ」と評価します。
SUNNY氏自身もMr.Childrenのコーラスにおいて、昔は声マネの域まで桜井氏に声を似せていましたが、今では自分の声でより自然に歌うようになったそうです。

一緒にプリクラも!? SUNNYとMr.Children のエピソード


SUNNY氏が「自分の持ち味が一番生かされていると感じる」と語るのがMr.Childrenとの共演。
SUNNY氏は1999年の「DISCOVERY」ツアーから2005年の「I love U」ツアーまで、Mr.Childrenのツアーでサポートメンバーを務めました。そして10年ほど間を空け、昨年のファンクラブ限定ライブから復帰しています。
一体どんなきっかけがあったのでしょうか。
「ミスチルのサポートメンバーに戻ったのは、昨年の『MIFA CUP』でウカスカジーのライブでキーボードを弾き、桜井君とまた一緒に音を出せたのがきっかけかもしれません。それまで桜井君とは音では繋がらず、週1のサッカーだけの繋がりでしたから(笑)」

ところでSUNNY氏とMr.Childrenといえば最近、メンバー4人とSUNNY氏で撮られたプリクラがファンクラブのブログに紹介されていて話題になりました。この件について尋ねると、プリクラがあることを見つけて楽屋で話したのはSUNNY氏だったそう!
「僕が伝えたら、マネージャーさんが後で全員で行きましょうと言ってくれまして……。そうしたら本当にメンバー全員が来てくれました(笑)」

関ジャニ∞の魅力とは?


Mr.Childrenのようなアーティストだけでなく、SUNNY氏は関ジャニ∞などのサポートも担当し、ライブやテレビで演奏することがあります。そんなSUNNY氏が彼ら独自の魅力を語ってくれました。
関ジャニは他のバンドやソロアーティストにはできない方法でお茶の間を楽しませているのが素晴らしいですね。
僕自身もそれを真近に見て、凄く勉強になるし楽しいです。また、他の人が書いた曲を常に一球入魂の姿勢なところも素晴らしいです」

また、ケラケラなどといった比較的キャリアの浅いアーティストと一緒に仕事をすることもあります。その場合、接し方も異なってくるとのこと。
自分が今まで培ったものは正直に伝えるようにしてます。こちらも教えてほしいことがあるので、普通に敬語なしで対等に会話していますね

フジ系列『ラストシンデレラ』の主題歌になったケラケラ2ndシングル『スターラブレイション』。実はこの曲のレコーディングでもキーボードを担当したSUNNY氏が、制作秘話を話してくれました!
「この曲は夜中まで頑張ったんですよ。
サウンドプロデューサーの松岡モトキさんと一緒に『何かインパクトを与えられないか』という話になり、悩んでいました。そんなときに、VOXオルガンのフレーズでイントロに一発フェイクを入れようという話になり、これが結果的に上手くいきました」

ライブで「時間が止まる」瞬間


様々なアーティストとライブで演奏しているSUNNY氏ですが、本当に演奏や歌が凄いときは「時間が止まる」と話します。
「手が止まってしまうのは本当に駄目なことなので、気を付けていますがライブツアーで1回、2回はあります」
キーボーディスト・SUNNYが語るMr.Childrenらとの秘話とハモリの真髄

今年行われていたMr.Childrenの「未完」ツアーでもあったそう! その場面は9月6日、豪雨の日産スタジアム、出島ステージで演奏をしているときでした。
「Jen君がドラムを叩いた時、ヘッドの上に溜まっていた水が王冠のように散った瞬間は時が止まりました。本当にそれがキレイで"音"が目に見えたように感じたんです」
まさに水が「REFLECTION」(反射)し、本来見えないはずの音が見えたと感じた瞬間だったのです。

ちなみにこの出島ステージではキーボードが雨に濡れぬように、車のボンネットのような透明なアクリルビニールを被せて、手だけ入れて演奏したと振り返ります。そのため、ビニールの上から鍵盤を見ているような状況だったそう!

SUNNYが語るミスへの対処法


ライブでは細かいハプニングが所々起きると語るSUNNY氏。一例としてメインボーカルが歌詞を間違った場合の対応を紹介してくれました。
歌詞が違うなと思ったら、一瞬だけ歌うのを止めてよく聴き、どこを歌ってる? と考えてからハモります
今年のライブでMr.Childrenの桜井氏が、SUNNY氏について「間違えて2番を歌っても、しっかり2番でハモって音の長さも合わせてくれる」と紹介する場面がありましたが、この技術があるからこそなんですね!

「2人の自分」SUNNYが語るハモリの真髄


ライブというと、メインボーカルがフェイクを入れ、CDとは違うリズムや音程で歌うことが多くあります。SUNNY氏はハモリの声はフェイクに合わせても、キーボードのプレイは変えてはいけないことが難しいと説明します。
「キーボードのテンポまで変えたらバンドに影響するので、変えられません。そのため、頭の中に2人の自分がいる感覚で対応しています。初めは本当に人格が崩壊するくらい悩んだんですが、今は無意識のうちに出来るようになりました」

SUNNYが思う音楽の魅力とは?


最後に、様々な歌手のライブやレコーディングで大活躍のSUNNY氏が思う音楽の魅力とはなんなのでしょうか。
「最近、CDが“配信”に切り替わっていますが、音源を聴いてライブに来てくださるファンの方は多いです。ライブで感じるお客さんとミュージシャンとの直のやり取り、皆でひとつのことを共有する感じはなくならないと思いますし、むしろそちらに重きが行くのではないかとも思っています。だからこそ、今後もライブの一つ一つをしっかり魂を込めてやっていきたいです
確かにライブで感じる一体感のようなものは特別であるし、そこに音楽の魅力が詰まっているように感じます。

そんなライブが上手くいくのもSUNNY氏のようなアーティストの努力があってこそ。今後もSUNNY氏も含めた多くの方々の努力で、良いライブが見られることを期待したいです!

(ヘアメイク:杉本和弘)
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