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映画監督・森田芳光が北川景子に渡した自作「の・ようなもの」とは

と評している(ぴあMOOK『森田芳光祭』)。

落語の世界を描くとなると情に傾きがちだが、この映画にはそれがない。落語家たちの普段のファッションからして、アイビー・ルックで固めた。秋吉久美子演じる風俗嬢も暗い影は一切なく、洋書のペーパーバックを読み、Y'sで服を買うといった具合に、知的でファッショナブルな女性として描かれている。ここには、生家が料亭ゆえ「水商売の人がバカにされるのは好きじゃない」との森田の思いが込められていた(前掲書)。

このほか、三遊亭楽太郎(現・圓楽)が若手人気落語家役で出演、局アナ時代の久米宏を思わせるラジオのレポーターぶりを見せていたり、団地のケーブルテレビやらYMOのアルバム「BGM」のジャケットやら同時代のファッション・音楽・ニューメディアなど流行りものがこれでもかと登場する。森田は人物をおのおのが持っているモノを通して描き出そうとしたのだ。そのあたりは、「の・ようなもの」と同じく1981年に出版された田中康夫の小説『なんとなく、クリスタル』ともなんとなく似ている。

モノが人間の思想や文化に影響を与えるという考え方を、森田は高校時代にマクルーハン(カナダの英文学者・文明批評家)のメディア論で学んだという。後年にいたっても「日経流通新聞」を愛読し、新製品が出るたびに買いこんでいたとか(前掲書)。遺作となった「僕達急行 A列車で行こう」(2012年)でもルンバが登場人物の部屋を動き回るシーンが印象深い。

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