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「火花」の流れで来るのか来ないのか。書評家・杉江松恋が第154回芥川賞受賞作を予想する

いつも木曜日だったのに今回はいきなり火曜日になっていたので、予定を入れちゃってましたよ.。そんなわけでイベントはお休みなのだが、第154回も芥川・直木賞の候補作をすべて読んで行う事前予想企画をやってみました。
ちらは芥川賞。毎回同じで★で表しているのは受賞の本命度ですが、作品の評価とは必ずとも一致しないことをお断りしておきます(5点が最高。☆は0.5点)。
「火花」の流れで来るのか来ないのか。書評家・杉江松恋が第154回芥川賞受賞作を予想する
上田岳弘「異郷の友人」掲載の「新潮」2015年12月号

●石田千「家へ」
「群像」2015年7月号
候補になるのは第145回「あめりかむら」第146回「きなりの雲」に続き3回目である。
主人公の新太郎が、とある正月の4日に実家のある町へとやって来る場面で話は始まる。旧友との再会や母親の話題などが出てくるので郷里だとわかるのだが、その雰囲気はどこかよそよそしい。「ただいま」と言って訪れる家の住人の「じいさん」、弟の「光太郎」、近隣の島で暮らす「倫さん」との関係も初めは明らかにされていない。それが整理された形で読者に呈示され、主人公の周囲には少し変わった、入り組んだ家族関係があるのだと判明するのが前半の山場だ。
いや、ストーリーの展開があるのはそこまでで、以降は漁業を主とする地方都市の情景と、東京で美大で彫刻科に通う新太郎の心境とが、曖昧な輪郭の器に盛られて出てくるのみだ。結論を出すのを諦めたかのように投げ出された家族の問題、郷里の停滞した経済、芸術という大海を前にしてぐずぐずしているように見える新太郎の境遇とが、すべて判断留保のような形で流れていき、とある事件によって唐突に幕が下ろされる。

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