flumpool アルバム『EGG』メンバー全員による総評インタビュー/インタビュー1

■flumpool/New Album『EGG』インタビュー(1/2)

「皆が今音楽に求めているのは、“裏”側にある、人に言えない部分」

flumpoolが、オリジナル・アルバムとしては『experience』以来約3年半ぶりとなる『EGG』をリリースする。鋭利でアグレッシブな最新シングル「夜は眠れるかい?」及びそのテンションの昂ぶりの中で生み出されたロック・ナンバーたちと、「今日の誓い」「DILEMMA」といった、彼らがかねてから得意としてきたメロディアスで洗練されたソフトなJポップ群の進化形とが、両極端に振り切ったまま共存している本作。最大公約数を目指すことなく、時には不格好に“はみ出す”ことを恐れずに、様々な感情を音楽という形で思い切り吐き出している。その在り方が浮き彫りにするのは、まさしく“人間のリアル”。メンバー全員が30代に突入し、各自がインディペンデントな意識を強めている今、彼らはバンドとして一歩踏み込んだ表現に挑んでいる。
(取材・文/大前多恵)

誰もが発信しやすい時代になった反面、本当の意味ではそれができにくい時代

――5周年を経た後、バンドとしての新たな方向性を考えていく過程で生まれたアルバムかと思うのですが、いつ頃から制作が始まったのですか?

阪井一生(以下、一生):昨年の夏ぐらいですかね? その時は全然テーマとかはなかったですね。

――『EGG』というタイトルはいつ頃決まったのですか?

一生:昨年の12月ぐらいかな?

尼川元気(以下、元気):ある程度、全体が出来てからですね。

――どなたの発案だったんでしょうか?

山村隆太(以下、隆太):僕です。内側にある自分の想いと、外側にある大切にしなきゃいけないもの……その間に挟まれて葛藤することも多かったので、内側と外側の区別を早く付けたいな、と。今回はその葛藤をも歌にしようと思ったんです。内側にあるもの、つまり僕らの本音はじゃあ、一体何なのか?と。そういう内側、裏側をハッキリさせないといけない。そうしないと、人は僕らに興味を持ってくれないと思ったんですよね。

――包み隠さず曝け出していこう、という覚悟ですね。1曲目にしてリード曲の「解放区」が特徴的ですが、隆太さんの歌い方もシャウト気味だったり、荒々しさがあったりと、タガを外そうする意思が伝わってきました。

隆太:そうですね、自分の中にあるタガを外し、外に向けて何かを伝えていくという意思は今回、強かったですね。誰もが発信しやすい時代になった反面、本当の意味ではそれができにくい時代でもあるなと僕は思っていて。エキサイトという言葉を使って話すと、“エキサイトすること”は言いやすいけど、“エキサイトしないことを”を言うのは難しいというかね。……あんまりいい例えじゃなかった(笑)。

一同:(笑)。

隆太:何というか、心の内側には批判的な考えもあるのに、SNSとかでそれを表明すると、正論がどこかから必ず飛んで来る。それを恐れて、本音を言いづらい世の中になっている気がするんですよね。そういう息苦しい風潮をどうにかしたかったというか。

結果的にすごく人間味のある作品になった

――なるほど。元気さんはどうですか? アルバムを作り始めた頃、「こうしたい」というビジョンはありましたか?

元気:具体的な“種”の部分は一生が作ってくるものになるので、こちらとしては、特に何もなかったです。でも、コンセプトディスク『FOUR ROOMS』(2015年5月)はアコースティックな感じだったし、あの段階では、こんなアルバムになる流れだとは思っていなかったので、「意外だな」と最初は思ったかな。でも、『FOUR ROOMS』で僕自身初めて、flumpoolの連名に自分の名前も載せたという意識があったので、今回は作品への取り組み方がこれまでとは違ったと思います。あそこで“根”を認めたことによって、逆に自由になった感じはあるんですよ。作風としては、悪く言えば、一生のモードがタイアップに引きずられた曲も多いというか。『亜人』という、極端に(『FOUR ROOMS』とは)逆のものが来て、「夜は眠れるかい?」が生まれて、そこに引っ張られた。でもそんな一生に対して逆に親近感が湧いたし、「人間っぽいな」と僕は納得したんですよ。それはメッセージにしろそうですけど、より尖ったというか、より人間臭くなったというか。両極端なメッセージを含んでいる作品になったので。でも、人間ってそうですよね?

――確かにそうですね。人間の内面には、明暗両方あるものですからね。無理に中和してまとめず、両極端のどっちもあっていいんだ、という?

元気:そうですね、その不細工な感じはあってもいいし。そういう意味では、「夏よ止めないで~You’re Romantic~」とかは、モード的には今の僕らとは完全に違うんですけど、でも、(このアルバムに)あってもいい。だから結果的にすごく人間味のある作品になったなと思います。

――インタビュー2へ



≪リリース情報≫
New Album
『EGG』
2016.03.16リリース
flumpool アルバム『EGG』メンバー全員による総評インタビュー/インタビュー1
EGG

【初回限定盤】(CD+DVD)
AZZS-42 / ¥3,800(税抜)

【通常盤】(CD)
AZCS-1051 / ¥2,800(税抜)

[収録曲]
1. 解放区
2. 夜は眠れるかい?
3. World beats
4. 今日の誓い
5. DILEMMA
6. 絶体絶命!!!
7. LINE
8. Dear my friend
9. 産声
10. とある始まりの情景 ~Bookstore on the hill~
11. 夏よ止めないで ~You're Romantic~
12. 輪廻
13. Blue Apple & Red Banana
14. 明日キミが泣かないように
<DVD> ※初回限定盤のみ収録
2016年の年明けにメンバー4人揃って撮り下ろした最新スタジオライブ
2015年の夏に開催した台湾でのライブ映像
シングル「夜は眠れるかい?」の初回限定盤DVDには収録出来なかったLIMITED TOURライブ映像+舞台裏に迫ったドキュメント
「夜は眠れるかい?」のMusic Video及び撮影時のドキュメント
アニメ『亜人』のティザー映像

≪ライブ情報≫
【flumpool 7th tour 2016「WHAT ABOUT EGGS?」】
4月2日(土) 福岡・福岡サンパレスホテル&ホール
4月3日(日) 福岡・福岡サンパレスホテル&ホール
4月10日(日) 福島・郡山市民文化センター 大ホール
4月16日(土) 石川・本多の森ホール
4月17日(日) 新潟・新潟県民会館
4月23日(土) 広島・広島上野学園ホール
4月24日(日) 広島・広島上野学園ホール
4月29日(金・祝) 神奈川・神奈川県民ホール
4月30日(土) 神奈川・神奈川県民ホール
5月5日(木・祝) 大阪・フェスティバルホール
5月6日(金) 大阪・フェスティバルホール
5月15日(日) 静岡・静岡市民文化会館 大ホール
5月21日(土) 北海道・ニトリ文化ホール
5月28日(土) 香川・アルファあなぶきホール 大ホール
5月29日(日) 愛媛・松山市民会館 大ホール
6月5日(日) 宮城・仙台サンプラザホール
6月11日(土) 愛知・名古屋センチュリーホール
6月12日(日) 愛知・名古屋センチュリーホール
6月18日(土) 大阪・グランキューブ大阪メインホール
6月19日(日) 大阪・グランキューブ大阪メインホール
6月25日(土) 東京・東京国際フォーラム ホールA
6月26日(日) 東京・東京国際フォーラム ホールA

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