自殺まで考えたほどの苦しい闘病生活
人気若手俳優の身に突如襲い掛かった病魔。今回の小林麻央同様、センセーショナルにこの事実は報じられ、一躍世間の関心事になります。そこからは我先に動向をキャッチしようと、自宅や入院先の病院にマスコミが大挙して押し寄せる事態へ発展。メディアの基本姿勢は、27年前も今も変わっていないのです。
そこからの5ヶ月間はマスコミを遮断しながら、準無菌室で何十冊も医学書を読み漁る日々。どうしようもなく押し寄せてくる不安に苛まれながらも、役者として復帰するその日のため、必死に活路を見出そうとしていたのです。
そんな経緯を辿って迎えたのが、前述した1990年1月11日の会見。渡辺によると、一時はあまりの辛さで自殺も考えたといいます。それでも希望を捨てずに病気と闘い、何とか一時退院するまでの状態に回復。「この病気と一生付き合っていくと思う」と、報道陣の前で決意を述べました。
渡辺謙の屈強な精神力 その後の活躍の源に
その後も入退院を繰り返し、仕事復帰が叶ったのは、発症から1年1ヶ月後の1990年9月。TBS東芝日曜劇場『息子のご帰還』への出演が決まり、制作発表の場に姿を現したのです。この時期になっても、まだ万全の状態とは言えず、病院と撮影現場を行ったり来たりする毎日。それでもプロとして仕事を全うしました。