「ヨガによって体の滞りを解消することができます。その滞りは、本来使われるべき体の筋肉などが正しく使われていないことなどによって生じます。そのポイントを押すと激痛が走りますが、そのことによってその部位を意識することができるようになり、そこを意識しながらアーサナ(ヨガのポーズ)を取れば、激痛を伴うことなく滞りを解消できるのです」
つまり体の滞りを解消するという意味では指圧もヨガも一緒であるということなのだ。前述の益城さんも激痛ポイントを押された後は、一日一分間教わったヨガのアーサナを行うことによって、膝の痛みが取れ曲がるようになってきたのだ。しかし益城さんも医者からはある程度見放されていたのになぜなのだろうか?
「医学などの西洋科学は物事を外側から考察します。それに対してヨガは人間の内面から考察していきます。だから見解も違いますし、できることも違うのです」


レビー小体型の認知症も現代医学では根治することはできないと言われているが、本当に症状は改善することがありえるのだろうか?
「レビー小体型の認知症は脳の側頭葉や後頭葉が委縮することによって起きますが、その委縮自体を戻すのは難しいと言われています。しかし荒井さんの場合は古典ヨガを行うことによって情緒や感情を司り、言語や記憶に関わりを持っている側頭葉の血流が活性化されたのではないかと思われます。こうした考えは、私たちの行っている認知症予防の講座の内容とも合致しています」(一般社団法人 認活アドバイザー協会 代表理事 鶴賀奈穂乃氏)
現在、日本のヨガ人口は350万人を超え、今後も増えるだろうと言われている。そのことによって日本人が健康になっていくとすれば喜ばしいことだが、ファッションとしてのヨガを行うと却って体を壊してしまうこともあるので、きちんとした古典ヨガを学んで欲しいとマスター・スダカーはいう。
「豊かさとは健康のことであり、幸福とは心の平穏のことです。ヨガは真の内面の幸福をもたらすのです」
(鶴賀太郎)