じゃあ本当におやじが揚げているかどうか、確かめてみようということで、早速お店に向かった。
中から出てきたのは……

本当におやじなのか、もしかしたらすごく若いお姉さんとか出てくるのではないだろうか、とドキドキしながら並ぶ。

「いらっしゃーい!!」
と、背筋のしゃきっと伸びたおやじ(長田さん:75歳)が笑顔で注文を聞いてくれた。

「揚げたてをあげるから待ってて!」
とこちらにもおやじ(中村さん:72歳)。
本当だった! 本当におやじがいる!! 看板に偽りなしだ!!
しかも厨房でてきぱきと唐揚げを揚げている中村さんは、料理人歴58年という匠である。同店は焼鳥をはじめとする鶏料理、惣菜を提供する飲食企業「鮒忠」のグループ会社。中村さんは中学を卒業後、鮒忠に就職し、独立後30年間は鮒忠グループとして、商店街などで総菜を提供していた。しかし、70歳を過ぎ、年齢の問題で店舗の契約更新ができなくなってしまったため、同店で働き始めた。

「(この歳だけど)まだ、働けるのにね」
と話すおかん(三浦さん:ヒミツ)は表情も語気もはつらつとしている。