つまるところ『コール・オブ・ヒーローズ』は活劇なので、見た後にスカッとしなければならない。そしてそのためには、「こいつら悪いな〜。バシッとやっつけられないかな〜」と観客が自然に考えるような悪役が必要なのだ。そういう意味で、シウロン率いる北洋軍閥の一隊はもう100点満点の出来栄えである。弱いものをいじめて村を焼くために生まれてきたような集団だ。
ここまで誰がどう見ても素朴に悪い集団というのは、最近の映画ではあまり見られなくなってしまった。ハイテクを駆使した組織犯罪とか実は隠された動機があったとかそういうのも悪くないけど、原始的な「いきなり集団で馬に乗って現れて村を焼く」というスタイルの悪役も、久しぶりに見ると「こういうのでいいんだよ!」と膝を打ちたくなる。
というわけで、この映画最大の見所は「悪」の描写の素朴さと力強さにあると思う。もちろん技術の限りを尽くしてハイスピードで繰り広げられるアクションや、圧倒的戦力差を昔ながらの武器で跳ね返す自警団メンバーのド根性も楽しい。だが、やはりそれらも悪役あってこそである。「昔ながらの素朴な正義漢と悪役が見たい!」という願望を叶えてくれる、そんな直球の娯楽映画が『コール・オブ・ヒーローズ』なのだ。
(しげる)