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武井咲「黒革の手帖」原作のモデルになった現実の犯罪をお勉強させていただきます

くだんの彼女は、先にも書いたとおり、土地成金の匿名預金には何らかかわりはなかった。しかし松本清張は、現実では直接の関係はないはずの横領事件と脱税目的の匿名預金を結びつけた。そこで登場させたのが、匿名預金者(今回のドラマでは「借名預金」となっていたが)のリストを書き写した「黒革の手帖」である。

現実の事件の彼女は、横領したカネをただひたすらに男に貢いだにすぎない。それに対し、元子は銀行から奪取したカネを元手に銀座にバーを開き、そこを拠点として、黒革の手帖を武器に、男たちに、ひいては社会に対し復讐を画策する。それこそが現実の横領事件と『黒革の手帖』で描かれたそれとの最大の違いであり、物語の世界をより広げ、深みのあるものとする清張一流のアイデアだったといえる。

さて、今回のドラマでは、主人公の元子の年齢は、原作よりも10歳以上若く設定されている。これは主演の武井咲の実年齢(現在23歳)に合わせるとともに、ここ数十年の時代の変化を反映した結果だろう。

男女雇用機会均等法の成立、あるいは経済の低迷もあり、いまやOLが結婚して専業主婦になることは減っている。『黒革の手帖』を、2017年現在を舞台にドラマ化するにあたり、「同僚らが結婚で次々と辞めていくのを傍観している」という元子の設定はさすがに無理があるというもの。ゆえにドラマでは、銀行内における女性たちの対立軸を、古参社員と新人社員ではなく、いままさに社会問題となっている正社員と契約社員に置き換えていた。これもまたアイデアである(ちなみに今回のドラマの脚本は、劇作家・演出家のつかこうへいに師事し、映画『フラガール』や朝ドラ『マッサン』などの代表作のある羽原大介)。

とはいえ、物語の核として描かれる復讐心など人間の業は、数十年経とうがほとんど変わらない。『黒革の手帖』にかぎらず、清張作品が現在にいたるまで絶えず映像化され続けているのは、そのあたりに理由があるように思う。
(近藤正高)

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「武井咲「黒革の手帖」原作のモデルになった現実の犯罪をお勉強させていただきます」の みんなの反応 3
  • 匿名さん 通報

    クッソ読みにくい記事だな。文章の構成を考えろ。

    8
  • にゃーす 通報

    ごちゃごちゃで、さっぱり分からなかった。

    7
  • 匿名さん 通報

    いや、分かりやすかったですよ。 記憶違いでなければこの女性は、美人ということもあり「悪事に手を染めてまで恋人に貢いだ良い女」と評判になったんですよね。 獄舎に求婚の手紙が何通も届いたとか。

    1
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