頭に銃弾を撃ち込まれて余命宣告を受けた男・律(長瀬智也)が、自分を捨てた母・麗子(大竹しのぶ)の愛を求めるも、麗子が溺愛するのは息子のサトル(坂口健太郎)だけ。一方、サトルに想いを寄せる凜華(吉岡里帆)だが、サトルは塔子(大西礼芳)に夢中で振り向いてもらえない。“愛する者に振り向いてもらえない”者同士の律と凜華が少しずつ距離を縮めていく……というのが大まかなストーリーだ。
で、悲しい話のはずなのに、なぜか泣けない。
長瀬智也たくましすぎるんじゃないか問題
「7月26日。日本に来てもうすぐ1ヶ月、今日も体調はバッチリだ。俺は命に限りがある大病だと言われてきたが、いまだどこも何ともねぇ。
真夏の公園で、ワッシワッシとスクワットしながらスマホに語りかける律。パーンと自分で叩く胸板がめっちゃ逞しい。
「とはいえ、明日はどうなるかわかんねぇ……」と少し弱気になってみたものの、突然、「俺のモットーは一日一膳。一日一回はうまいメシを食うという意味だ。頑張るぞ、オー!」とよくわからない怪気炎を上げて、ぶっとい腕を誇示してみせる。怯えを打ち消してみたのだろうか。
律の症状は徐々に肉体を蝕んでいた。若菜(池脇千鶴)の部屋でめまいを起こし、サトルから離れてアメリカに旅立とうとする凜華を空港に送る車の中で激しく苦しみ始める。大丈夫か、律……! しかし、病院に運ばれることもなく、若菜の部屋でわりとケロッと治ってしまった。食欲もバッチリだ。
とにかく長瀬智也から生命力が溢れすぎている。ありていに言えば、健康的過ぎるのだ。
長瀬智也を批判したいというわけではない。前髪を下ろして繊細さも演出しているし、韓国でのアウトローぶりや、サトルやペクラン(イ・スヒョク)にすぐに慕われてしまうアニキ感は長瀬ならではのものだ。
背後でセミがジージー鳴いている夏が舞台というのも関係があるのかもしれない。夏は生命が躍動する季節。やっぱり幸薄感が出るのは寒い冬だろう。そういえば本国版『ごめん、愛してる』では、中島美嘉の「雪の華」(の韓国語カバー)が主題歌として効果的に使われていた。
とはいえ、まだまだドラマは中盤にさしかかったばかり。5話から最終話に向けて、屈強な肉体を持つ長瀬からどのような哀しみが溢れ出していくのか。やるなら徹底的にやってほしい。第4話のラスト近くで凜華や若菜たちが興じる花火は、律がこれから短く激しく燃やす命の火を象徴している。これから視聴者の涙を搾り取ってくれるような展開に期待したい。今夜第5話は10分拡大だ。
東京ニュース通信社
(大山くまお)