大槻ケンヂ 50代突入の筋少は指一本立てて「Future!」 木村健悟戦法で死に対峙/インタビュー2

 
大槻ケンヂ 50代突入の筋少は指一本立てて「Future!」 木村健悟戦法で死に対峙/インタビュー2
撮影/東京神父

■大槻ケンヂ(筋肉少女帯)/アルバム『Future!』インタビュー(2/3)

――インタビュー1より

今、その良さがわかる! 健悟の一本指の力強さが!(笑)

──創作におけるメンバーとの関係性も、今はいい状態ですか?

大槻:そうですね。今はそれぞれが、自分の役どころをわかっているというか。作曲陣が、どう増えても4人じゃないですか? 僕最近、あんまり曲書かないから3人か。そうするとやっぱり、方向性が偏ってくるから、必ずアルバムにカバーやセルフ・カバーを入れてたんですね。ひとり違う作曲者が入る、という意味合いで。

だったんだけど、今回は……カバー曲の候補もあったんだけど、許可取りが間に合わなかったりして。どうしようかという時に、「みなさん、曲を作ってきてください。ただ、自分が普段作らないような部分も入れて持ってきてね」というのは言ったかな。内田くんの書いてきた「告白」は、80年代のジャパニーズ・ニュー・ウェイヴ・バンドのイメージで作ってくれたんだと思うんだけれども。じゃあそのイメージで書いてみようかと思って、その頃のバンドの歌詞を聴いてみたんですけど。やっぱりねえ、80年代ニュー・ウェイヴ、怖い怖い。もうなんにも歌ってないんですよ。コピーライターの時代でもあったし、不条理なことを歌う時代だったから。いやあ、ほんとになんにも歌ってない。そこが逆に深い。
大槻ケンヂ 50代突入の筋少は指一本立てて「Future!」 木村健悟戦法で死に対峙/インタビュー2
撮影/東京神父

──たとえば?

大槻:たとえばプラスチックスとか。というか、プラスチックスだけじゃない、当時みんなそうですよ。フォーク、ニュー・ミュージックの時代が終わって、メッセージ性っていうのを否定する時代だったから。何かいいことを言ったりすると、それは恥ずかしいものだったんですよね。意味のわからないことを言ってるのがカッコいい時代。だから、これはちょっと難しいなと思って、参考にするのをやめました。

──だから当時、ブルーハーツにびっくりしたんですもんね。

大槻:ああ、そう! そこにああいう強いメッセージがあるものがガーンと現れたから。ただ、「告白」の歌詞、言葉的に言うと「君はおいしいの?」っていうのは、当時「おいしい生活」ってあったでしょ?(糸井重里のコピー。彼の出世作) 当時、そんなこと言ってたなあ、というので入れましたね。アルバムを作っていて、最後にいい曲を……泣けるいい曲か、うっとりする曲か、そういうのを1曲は入れたいんだけども、その枠が最後に残っちゃって。そこにこの「告白」が来たんで、全然メロディーがそういう曲じゃない、これどうしようって悩んだ末に、こうなりましたね。でも、結果的にはある意味、泣かせる曲にできたと思うんだけれども……。

ただ、すごく思ったのが、俺、サビで「人間モドキたち」って書いてる時に、「ああ、そうだ、だからリスナーが限定されるんだな」と(笑)。やっぱり、多くの人に歌われて、いろんなスポンサーさんからタイアップの話が来る、あるいはNHKの朝の連続テレビ小説から主題歌の依頼が来るバンドは、サビで「人間モドキ」って書かないですよ。
大槻ケンヂ 50代突入の筋少は指一本立てて「Future!」 木村健悟戦法で死に対峙/インタビュー2
撮影/東京神父

──でもこの曲の最後の「普通を探しに行こう」って、すばらしいですけどね。

大槻:そうなんですよ。そうなんです、ありがとうございます。歌のこの最後の部分は、なかったんです。ここはピアノが入ってたんだけど、内田くんに「最後にもう一回Aメロに戻ってくれると、いい話に落とせるから」って、ラストを歌う部分にしてもらったんです。

──その曲も含め、アルバム全体に、聴き手のためになりたい、聴き手を善き方向に導きたいという意志が感じられたんですけども。

大槻:そうですね。何よりも今回、タイトルが『Future!』ですからね。だから、もう過去を思い返しても何も始まらない、あるかないかわからないけど目指そうぜ、未来を!っていう気持ちには、今、なってますよね。やっぱり筋肉少女帯も50代に入ったので、もうあとは未来しかないですよ。昔どうだったとか言っても、どうしようもないじゃないですか? 残された時間は長いかどうかわからないから。

だったらもう、過去に囚われていてもしょうがない、未来に向かうのさ、リスナーもそうしようぜ、オーディエンスも今日会ったらば未来にまた会おうぜ、もしその前に命尽きることがあったら来世でまた会おうぜ! みたいな気持ちですよね。前向きになりますよ。ロックをやってきて、50歳にもなると、やっぱりポジティヴにならざるをえないというか。こないだも『夏の魔物』っていうフェスに出て。いろんな50オーバーのミュージシャンがたくさんいて、暑い中にワーッと出て行って、10代のアイドルちゃんなんかもいて、そこでわんさかやってたりすると、どうしてもポジティブな人生感になりますよ。
大槻ケンヂ 50代突入の筋少は指一本立てて「Future!」 木村健悟戦法で死に対峙/インタビュー2
撮影/東京神父

──30代、40代の頃には考えもしなかったような気持ちになっている?

大槻:なってますね。たとえばみんな、10代の頃に持っていた憤りとか怒りとか、そういうものでロックって始めると思うんだけれども。そういうのも忘れていきますよね。『青春夜話』っていうポルノ的な映画があるんですね。暗かった中高生時代に囚われている大人が、一晩だけ中高生に戻って……みたいないい映画で、それを観て主演女優さんと対談する、っていう取材をさっきまでやってたんだけども。とてもいい映画なんだけども……イケてなかった青春時代をやり直そうという思い、「もしあの時ああしていたらこうなったんじゃないか」っていう思いを、50すぎたら忘れてたの。その映画を観て「あ、そういえば30代の頃はこういうの思ってたな。っていうか俺、20代の頃、そういうので『グミ・チョコレート・パイン』を書いたなあ」みたいな。

でも、50になってそれに囚われていたら、さすがにヤバいですよ。それよりももっと……まだまだ50歳なんてヒヨッコだけども、若い人よりは死というものに近づいているから。死への恐怖、生への執着みたいなものと、どう対峙するか、どう自分の中で処理するか、っていうことが、大人になってからのロックの問題意識だと思いますよ。あとどれくらいあるかわからない自分の生命、そして来たるべき死、そういうものに対してどう意識を持てるか。
大槻ケンヂ 50代突入の筋少は指一本立てて「Future!」 木村健悟戦法で死に対峙/インタビュー2

そこで僕は、明るく『Furture!』と考えよう!と思ったわけです。元プロレスラーの木村健悟さんが、稲妻レッグラリアートという技をかける時に、相手をロープに振って、指一本立てて「イナズマ!」って叫んでいて。それが当時多少イケてなかった。と、プロレスファンはみんな思ってたんですけど、今、その良さがわかる! 健悟の一本指の力強さが!(笑) だからもう、死というのは自分で投げた運命なんだね。それがロープにぶつかって跳ね返ってくるわけですよ。それにどういうふうに受け身を取るか、あるいは攻撃するか。そこで僕は、木村健悟の戦法を。指一本立てて「Future!」。これが今からの稲妻レッグラリアートだな、と思ったわけです。

――インタビュー3へ



≪リリース情報≫
New Album
『Future!』
2017.10.25リリース




≪インストアイベント情報≫
2017年10月27日(金)21:00~ タワーレコード新宿店

≪ツアー情報≫
【New Album「Future!」発売記念「一本指立ててFuture!と叫べ!ツアー」】 
2017年11月11日(土)愛知・名古屋 CLUB QUATTRO
2017年11月16日(木)東京・EX THEATER ROPPONGI
2017年11月25日(土)大阪・心斎橋BIG CAT
2017年12月10日(日)東京・赤坂 BLITZ

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