ドラマの冒頭、こはぜ屋での会議で宮沢(役所)がこう言う。
「今のウチに必要なものは二つ。実績と、新しいソールだ」

第2話でクリアすべき課題がめちゃくちゃわかりやすく提示されている。実績とは、ダイワ食品陸上部の茂木(竹内涼真)に“陸王”を履いてもらうことを指す。そしてソールとは、言うまでもなく飯山が特許を持つ「シルクレイ」のことだ。

ところがこの飯山という男がワケアリだった。「シルクレイ」の開発に資金をつぎ込みすぎて自分の会社を倒産させており、恨みを買ったシステム金融に追われて妻の素子(キムラ緑子)とひっそり暮らす身。いわば、かなりヤキが回った男なのだが、それでも死蔵特許となった「シルクレイ」で一攫千金を狙っているのだからタチが悪い。やってきた宮沢(役所)と坂本をけんもほろろに追い返す。

ソフトでダンディなムードの役柄が多い寺尾聰だが、しゃがれ声とぶっきらぼうな態度などを駆使してヤキが回った男の雰囲気を出すのに成功している。高額な契約を持ちかけてきた外資系企業からもらったお土産と、宮沢が持ってきた行田市名物・十万石まんじゅう(うまい、うますぎる)を比較するような持ち方をするいけ好かない振る舞いも効果的だ。しかし、それでも『アウトレイジ』感がまったくないのが寺尾聰。このあたりがキャスティングの妙である。

池井戸流、男をオトす必殺技・会社見学!


飯山は宮沢に年間5000万円という法外な特許料をふっかける。こはぜ屋には到底無理な金額だ。さらに外資系企業も飯山の特許を狙っている。まったく勝ち目のない戦いだが、宮沢はとにかく押しの一手。不審者ギリギリのラインでしつこく飯山に食らいつき、こはぜ屋の会社見学を提案する。