スター・ウォーズ歴代ポスターずらり「SF・怪獣映画の世界」展をみてきた
新旧の映画ポスターがたくさん!


いやー、映画って本当にいいものですね!
中でも、近年人気なのはSF映画。『スター・ウォーズ』や『ゴジラ』シリーズの新作、『ブレードランナー』の続編版なども記憶に新しいところです。


そこでおすすめしたいのが「東京国立近代美術館フィルムセンター」。日本でなんと唯一の国立の映画機関。フィルムはもちろん、関連する数多くの映画資料を集めています。

そんなお宝だらけのフィルムセンターが、この冬はSF・怪獣映画がテーマの「ポスターでみる映画史Part3 SF・怪獣映画の世界」展を開催しています。 どんな未知との遭遇があるのでしょうか?
スター・ウォーズ歴代ポスターずらり「SF・怪獣映画の世界」展をみてきた
「SF・怪獣映画の世界」のポスター



古いからこそ新鮮な、古典SF作品たち 


今回は特別に「SF・怪獣映画の世界」展を担当された、フィルムセンター主任研究員の岡田秀則さんに案内してもらいました。
スター・ウォーズ歴代ポスターずらり「SF・怪獣映画の世界」展をみてきた
フィルムセンターの岡田さん


展示の前半は海外作品、後半は国産作品となっており、それぞれがほぼ時系列に並んでいます。

まずは海外の古典作品から。1927年の『メトロポリス』。なんと日本初公開時のパンフレットが現存していました! 同行スタッフが思わず「おしゃれ!」と声をあげるほどのキュートなデザイン。90年前の人々の描く「近未来」とは、こういうイメージなのかというのが感じられます。
スター・ウォーズ歴代ポスターずらり「SF・怪獣映画の世界」展をみてきた
『メトロポリス』のパンフレット


そして時代は戦後間もない1950年代へ。

宇宙や海底など、新たなワンダーランドへの冒険作が増えていきます。さらに『ゴジラ』の元となった映画『原子怪獣現わる』もこの時代。
核実験により巨大生物が誕生するというテーマは、戦争を経過したことで生まれたのだと実にわかります。
スター・ウォーズ歴代ポスターずらり「SF・怪獣映画の世界」展をみてきた
1950年代のSF・怪獣映画ポスター


詳しく知らなくてもポスターは眺めるだけで楽しい。特にこの時代のポスターは、絵のタッチが実に独特なんです。

『2001年宇宙の旅』『スター・ウォーズ』による幕開け 


スター・ウォーズ歴代ポスターずらり「SF・怪獣映画の世界」展をみてきた
キューブリック作品のポスター


お次はキューブリックのコーナー。名作『2001年宇宙の旅』の監督です。ちなみに、当時は「キューブリック」というカタカナ表記も作品ごとに違っていました。どんな風に変化したのか、ぜひ会場で確かめてみてください。こういう発見も、ポスターを見比べられる会場ならでは。
スター・ウォーズ歴代ポスターずらり「SF・怪獣映画の世界」展をみてきた
『2001年宇宙の旅』のポスターの一部


そして、海外SF映画の金字塔『スター・ウォーズ』! 各エピソードのポスターを一覧で見られます。この展示の発案は1年以上前だったそうですが、ちょうど昨年末にエピソード8が公開。展覧会のタイミングに重なると知ったときは、岡田さんも驚きだったそうです。
スター・ウォーズ歴代ポスターずらり「SF・怪獣映画の世界」展をみてきた
歴代『スター・ウォーズ』のポスター


詳しい人は並んだポスターを見て「あの人はあれで……」とニヤニヤできることでしょう。そしてスター・ウォーズファン垂涎もののお宝もあります!
スター・ウォーズ歴代ポスターずらり「SF・怪獣映画の世界」展をみてきた
『スター・ウォーズ』公開一周年記念ポスター


青と白の『STAR WARS』ロゴ入りケーキにろうそくが立てられ、その周りにキャラクターのフィギュアが並ぶ、ちょっと珍しいポスター。
実は『スター・ウォーズ』映画公開一周年を記念して作られたもので、ちょうど日本公開と重なりました。

来日した監督のジョージ・ルーカスをはじめ、ルーク、レイア姫、ハン・ソロ(つまりはハリソン・フォード)らのサインが書かれています! そして、ここは数少ない写真撮影OKエリア。こんな貴重なポスターと記念撮影できるなんて太っ腹!

海外SF映画ゾーンの最後は1980年頃以降の作品。『バック・トゥ・ザ・フューチャー』や『ターミネーター』のポスターが並びます。ジャンルこそSFですが、ロマンスあり、アクションあり、映画の世界の広がりを感じますね。また、海外作品の英語タイトルの雰囲気を損なわないように作られた、オリジナルの日本語フォントによるタイトル文字も必見です。
スター・ウォーズ歴代ポスターずらり「SF・怪獣映画の世界」展をみてきた



日本映画も負けていません!


さて、後半は国産SF映画のコーナーです。実はこうしたジャンルごとのポスター展は今回が3回目。過去2回は「西部劇」「ミュージカル」で、外国映画が中心でした。今回さらに親しみのある「SF」というジャンルにしたことで、日本映画の貴重資料も多く展示されています。

まず最古参は1933年に作られた映画『百年後の或る日』。なんとこちらはビデオ上映あり! 荻野茂二氏が個人で作り上げた切り絵影絵アニメーション。
古いのに新しい、なにか温もりを感じます。
スター・ウォーズ歴代ポスターずらり「SF・怪獣映画の世界」展をみてきた
『百年後の或る日』の1シーン


そして戦後になると、あの怪獣が襲来します。
スター・ウォーズ歴代ポスターずらり「SF・怪獣映画の世界」展をみてきた
『ゴジラ』(右)と『キングコング対ゴジラ』(左)のポスター


そう、ゴジラです。

岡田さん曰く「ゴジラはどの作品も製作時の世相と関係が深い」とのこと。最初は恐怖の象徴だったゴジラ。別の作品では他の怪獣と戦い人類を守る。しかし、バトルものの娯楽性だけでは違うとまた原点に回帰する……など。ここでは、数ある『ゴジラ』作品の中から、時代を反映するポスターが選ばれて展示されています。

そして、ゴジラのヒットから、ガメラやギララといった他社の怪獣映画も誕生。中でも今回「これだけのものがよくぞ残っていた」と言われたのが注目度1位のポスター、モスラです!
スター・ウォーズ歴代ポスターずらり「SF・怪獣映画の世界」展をみてきた
超巨大な『モスラ』ポスター


B1サイズのポスターを8枚並べて完成する、幅3メートルの巨大ポスターです。全く古びておらず、当時の色がそのまま残っており、本物のモスラさながらに圧倒されます。

また、本多猪四郎(ほんだ いしろう)作品のコーナーも見どころ。
『ゴジラ』の監督としての職人技が有名ですが、他の作品からも本多監督なりの人間観、ヒューマニズムが感じられます。

そして1970年代は『日本沈没』など、小松左京のSF小説を元とする映画の全盛期。1980年代になると『時をかける少女』でのタイムトラベル、『帝都物語』での陰陽道や呪術といった、SFの定義の広がりを感じさせる映画が増えていきます。
スター・ウォーズ歴代ポスターずらり「SF・怪獣映画の世界」展をみてきた
『時をかける少女』と『さよならジュピター』のポスター


以上、駆け足でご紹介しましたが、実に充実した展示でした。

もちろん各映画も面白いのですが、1本見るだけでも時間がかかってしまいます。しかし、ポスターであれば一気に、それも複数を横断的に見ることができるのです。

また「SF・怪獣映画」というジャンルは、特にイマジネーションを楽しむものが多いのですが、ポスターを眺めるだけで、映画本編に負けず劣らずに想像力が刺激されました。

なおもっと詳しく知りたい人に向けて、フィルムセンターでは専門家によるトークイベントも開催されています。こちらも是非チェックしてみてください。

いやー、映画って本当にいいものですね!
それではまたお会いしましょう。サヨナラ、サヨナラ、サヨナラ。

ポスターでみる映画史Part 3 SF・怪獣映画の世界

<会期>
2018年1月4日(木)~3月25日(日)
※月曜休館

<開室時間>
11:00~18:30(入室は18:00まで)

<会場>
東京国立近代美術館フィルムセンター 7 階展示室

<料金>
一般 250 円(200 円)/大学生 130 円(60 円)/シニア・高校生以下及び 18 歳未満、障害者
(付添者は原則 1 名まで)、MOMAT パスポートをお持ちの方、キャンパスメンバーズは無料
*料金は常設の「日本映画の歴史」の入場料を含みます。

*( )内は 20 名以上の団体料金です。
*学生、シニア(65 歳以上)、障害者、キャンパスメンバーズの方はそれぞれ入室の際、証明できるものをご提示ください。
*フィルムセンターの上映企画をご覧になった方は当日に限り、半券のご提示により団体料金が適用されます。

http://www.momat.go.jp/fc/exhibition/sf-kaiju/

(高柳優/イベニア)
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