清水翔太の人生観「Good Life」 言いたいことが言える今のやり方にワクワクする/インタビュー1

■清水翔太/24thシングル『Good Life』インタビュー(1/3)

何があっても自分だけは自分の味方。人に何と言われようが自信を持つのは自由。
そうは言うものの、そう簡単にコトは運ばない。自分の味方も自信も、ちょっとしたことで総崩れ……。そんな時に、この『Good Life』聴いてみてほしい。一生懸命やってきて、周りの言葉にも耳を貸し、よかれと思うことだけをやってきた。それが裏目に出てしまったときの徒労感、それを知っている人だけが歌えることがある。10年かけて歩いてきた道を振り返ったとき、ようやく『Good Life』と思えるようになった清水翔太が歌う言葉は、限りなく力強く優しい。

(取材・文/前原雅子)

ベストアルバムが思ったほど売れなくて、曲も作れなくなり、音楽を辞めるくらいの覚悟がありました

──「Good Life」はどんなところから曲作りが始まったのですか。

翔太:これまで人生を曲に書くって、あまりしてこなかったんですけど。20代で「人生とは」「どう生きるか」とか言っても、説得力に欠けるかなぁみたいな気持ちがあって。でも今、やっと説得力を持って人生のことを言える気がしたので、こういうことを書こうと思ったのかもしれないですね。

──以前から書いてみたいと思うテーマではあったのですか。

翔太:メッセージとして人生の歌っていうのは書いたことがなかったし、書きたいとも思わなかったです。
自分の今までのことを踏まえた、ラブソング以外のことを書いたりはしましたけど、人生っていう大きなテーマで書こうとは思わなかったですね。

──今回書こうと思ったのには、何かきっかけでも?

翔太:ちょっと長くなっちゃうんですけど……。まずデビュー曲の「HOME」っていう楽曲がわりと売れて。その時の僕は右も左もわからずに音楽業界に飛び込んで、とりあえず周りの人たちに恩を返さないといけないって強く思ってたんですね。だから自分自身のやりたいことやオリジナリティは二の次にして、まずはレコード会社とか事務所の「こういうことをやったほうがいいんじゃないか」「売れるんじゃないか」っていう意見に耳を傾けて、作品を作っていってたんです。

──まずは周りの意見に従ってみようと。


翔太:たとえ自分の意図しない方向に行って、「俺のやることじゃないんじゃないか」「俺の音楽とだいぶ離れてきてる」って思うことがあっても、全部受け入れて。自分と会社とファンのみんなでパブリックイメージの清水翔太っていうのを作り上げていたというか。

──方向の違いがストレスにはならなかったですか。

翔太:「俺はこうなんだ」って自分に言い聞かせてましたね。だって自分の意思と違う方向の楽曲も、リスナーには関係ないことだから。それが清水翔太だっていうふうになるし、本当はそうじゃないよって言ったところで、「じゃ、なんでこんなことやってんの?」っていう話になるだけで。
またそこそこ器用だから、どういう要望に対しても合格点を出せるんですよ、そこでも苦しみましたね。できちゃうから、そのまま進んでいっちゃって、それが清水翔太ですってことになるから。
清水翔太の人生観「Good Life」 言いたいことが言える今のやり方にワクワクする/インタビュー1

──自分とパブリックイメージ、その二つはどこかで折り合いをつけていたのですか。

翔太:つけるしかないですよね。でもそれも、結果が出ていれば勝手に折り合いはつくんだと思うんです。俺とは違う俺だけど、むちゃくちゃ売れてるから割り切れるっていうか。
でもそういうわけじゃなかったから。そこでマイナスな評価とかされると、やっぱり口惜しいんですよ。

──けれども、そういうやり方をしばらく続けて。

翔太:そうです。その頃はとにかく結果が出なくて、それが苦しくて。「これは売れるだろ」って一丸となってやったことも、大して売れなかったり。
自分が儲からないのはいいんです、だけど、周りに返せないっていうのがどうにも苦しくて。とりあえずベストアルバムを出すまでは、周りの言うことを聞いてやっていこうと思ってたんですね。でもまたそれが思ったほど売れなくて。ベストアルバムでこれじゃダメじゃん、これはもうやってる意味ないなと思ったんです。

──ずっと張り詰めていたものがプツッと切れてしまった?

翔太:そうなんですかね。もう曲を作りたいとも思わなくなったし。それ以前に作れないし、何をすればいいかわからなくて。かといって自分の好きなことを思いっきりやるのは怖くて。だって、それこそホントに自分の責任になっちゃうから。まだ周りの言うことを聞いて売れないぶんには、今回ダメだったね、次のことを考えようって言っていられるけど。「俺はこれがやりたいんだよ」ってやったことが全く売れなかったら、全部自分に返ってきちゃうから。で、自分をリセットしたくなったんです。アメリカに住んで勉強し直そうって。

──ちょっと長めの休みをとって。

翔太:そういう感じで言ってましたけど、僕的にはもう辞めるくらいの覚悟がありました。実際、1年とか2年休んだら、戻ってこれる場所があるかどうかわからないし、忘れられてるかもしれないし。そういう気持ちで家探しをしたりしてたんですけど、途中から、それもなんか逃げてるようでカッコ悪く感じてきちゃって。どっちつかずの中途半端な感じのことをやってきて、本気で勝負してないなと思ったんです。それが口惜しくてアメリカに行くのはやめました。絶対に天下を取ってやろうって気持ちで上京してきたくせに、まだ本気で勝負してないじゃないかって。
清水翔太の人生観「Good Life」 言いたいことが言える今のやり方にワクワクする/インタビュー1

──そこで本当の意味でリセットできたんでしょうね。

翔太:そう。思いっきり自分のやり方で、好きなことをやってみようって。それで勝負してダメだったらしょうがないっていう感覚になってから、バッと曲ができはじめて『PROUD』っていうアルバムを出したんです。そうしたら、それがわりと評価されて、自分のやるべきことって、こういうことだったんだと思えてきて。あとはセールスが伴えば、本当の意味で自分のやり方を肯定できるなって思えたんですよね。

──そのタイミングでの好評価は嬉しかったでしょうね。

翔太:そのあとに出した「My Boo」が配信ではヒットと言える結果が出せて、それも本当に嬉しかった。やっぱり自分のやりたいこと、自分の好きなことで売れるっていうのは一番幸せなことですけど、マジで大変な、無理に等しいことだと思うから。でも幸せなことに「My Boo」で実現できたので、ほんとに嬉しくて。

──その時は周りから意見を言われたりするようなことも。

翔太:というより何も言われなかったですね。仮に言われたとしても聞かなかったかな(笑)。それは意地じゃなくて、いや絶対こっちのほうが売れるから信じてくれっていう意味で。

──そこがすでに変わっていますね。

翔太:もちろん周りの言ってることが正しいと思ったら聞きますよ。でも前は、間違ってると思っても「わかりました」っていう感じだったので。そこは大きく変わりましたね。でも本当に諦めずに自分のやり方でもう一回勝負してよかったなって。実際、レコード会社の人たちも、翔太が自分の信じてるものをやったほうが結果が出るっていう考えに変わっていったし。だから今やっと自分の望む形で自分の音楽を作れて、ステージにも立ててるなって思います。

──時間はかかったけれども。

翔太:必要な時間だったと思う。周りの意見を取り入れてた最初の頃の自分も、今の自分に辿り着くために必要だったし。今このタイミングでこうなれたことも、すごく大事だと思うんですよね。最初から好きなことをやってたら、全然違ってただろうから。苦しんだり我慢したりっていうのを経て、自分のすべての道のりを肯定できるっていう気がするので。だから今の自分なら過去をすべて肯定して、また一歩前に進むために、人生や生きるっていうテーマで書いても説得力があるんじゃないかと思ったんです。……それには「My Boo」がヒットして、自分のやり方とか自分のクリエイティブっていうのを、心の底から信じられるようになったのが大きかったんでしょうね。

──積み重ねてきた結果の自信ですもんね。

翔太:タイアップでバンといった瞬間風速って感じじゃないから。ずっとやってきたことが、やっと評価された感覚があるから。やっぱり嬉しいし、やっててよかったなって思ったし。これでなんとか周りにも、清水翔太に携わってきてよかったなって思ってもらえるかなって思いましたね。

――インタビュー2へ

≪リリース情報≫
24th Single
『Good Life』
2018.01.24リリース




≪イベント情報≫
【SHOTA SHIMIZU 10th Anniversary Event for Family】
2018年2月20日(火)東京・豊洲PIT
2018年2月21日(水)東京・豊洲PIT
2018年2月25日(日)愛知・Zepp Nagoya
2018年2月27日(火)大阪・Zepp Namba
2018年2月28日(水)大阪・Zepp Namba

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