いま同様の事件が起きたら……
朝日新聞の記者たちが、これほどまでに事件の真相解明のため心血を注いだのは、単に同僚が殺されたことへの怒りからだけではない。そこには、言論の自由が暴力によって奪われることへの危機感があった。それゆえ、彼らはほかの新聞社をはじめ各メディア、また市民ともスクラムを組んで立ち向かうことができた。死亡した小尻記者と新人時代、同じ赴任地で一緒に県警を回った仲だという読売新聞のある記者は、後年、《小尻を美化する報道もあったが、あいつは英雄でも、特ダネ記者でもない。僕らと同じ、ささやかな夢を持った不器用な記者が支局で殺された。そこに、この事件の本当の怖さがある》と語っている(『新聞社襲撃』)。
いまや赤報隊が犯行声明で掲げたような主張は、ネットをはじめあちこちで見られ、珍しいものではなくなった。そのなかで頻繁に使われる「反日」という言葉は、赤報隊事件以前は右翼もほとんど使わない言葉だったが、赤報隊が蔓延させたとの指摘もある。いま「反日」とを盛んに口にしている人たちが、赤報隊のテロを肯定することは十分ありうるのではないか。
ましてやマスコミへの不信は時代を下るごとに深まっている。文藝春秋の元編集者で作家の半藤一利は2002年の時点で、襲撃事件のあと朝日新聞が持ちこたえられたのは、世論が味方してくれたからとした上で、
取材源をペラペラ喋るような記者には、怖くて誰も情報提供できないよ。そんなことも分からんのか?
情報の公開ってのは、公金を使う役所とか、選挙で選ばれた議員の活動とか、そういうのを公開しろって話なので、それすら分かってないのかよ ʅ(◞‿◟)ʃ
NHK未解決事件に期待。真相究明して社会から不安を無くしてほしい。オウム事件は犯人が解明されたが、赤報隊事件はなぜできてないのか、実録ドラマ、ドキュメンタリーでどう描かれるか注目。